ふたば便り

平成30年度の税制改正で大きく変わった事業承継税制

2018年5 月号(Vol.189

 中小企業の事業承継では、現社長や会長が持つ会社の株式をどのようにして後継者に渡すかということが重要な課題のひとつになります。株式の移動に伴って発生する贈与税や相続税が問題になることがその理由ですが、この問題を緩和するために非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予・免除制度(いわゆる事業承継税制)が以前からありました。今回の平成30年度の税制改正ではこの事業承継税制が大幅に見直され、これまでよりも格段に使いやすいものとなりましたので、今月はその内容についてご説明しましょう。 

事業承継税制の特例措置と一般措置

 今回の税制改正では、これまでの措置(一般措置)に加えて、平成30年1月1日からの10年間限定の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等がなされた特例措置が創設されました。

 

特例措置

一般措置

事前の計画策定等

5年以内の特例承継計画の提出

(平成3041日から

平成35331日まで)

不要

適用期限

10年以内の贈与・相続等

(平成3011日から

平成391231日まで)

無し

対象株数

全株式

総株式数の最大3分の2まで

納税猶予割合

100

贈与:100% 相続:80

承継パターン

複数の株主から最大3

の後継者

複数の株主から1人の後継者

雇用確保要件

弾力化された(※1

承継後5年間

平均8割の雇用維持が必要

事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除

あり(※2

無し

相続時精算課税の適用

60歳以上の者から20歳以上

の者への贈与

60歳以上の者から20歳以上

の推定相続人・孫への贈与

 (出典:国税局「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし」)

 

(※1)平均8割の雇用が維持されなかった場合でも報告書の提出など救済措置あり

(※2)2年以上赤字や2年以上売上減少など一定の場合に納税猶予額の一部免除あり

 これまでは総株式数の最大3分の2まで、なおかつ相続税の場合には税額の80%までという上限があったため、実際に納税が猶予される税額は相続税の場合で約53%、贈与税で約67%だったのが、今回は100%の税額が猶予されることになったことと、雇用維持(平均8割の雇用維持)の要件が緩和されたことが特に大きな改正内容です。事業承継で悩まれている方はぜひご検討ください。

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