西俊輔の「毎日楽しく」

2014年11月号 Vol.111

今年ももう11月なんですね。気づけばこの「毎日楽しく」も「Vol.111」ということで、今月号には「1」が並んでなんだかいい感じ、なんてどうでもいい話はさておき、先日ある空港に行ったときのことです。

一般の空港と同様、この空港も街の中心から比較的遠い郊外にある空港で、まわりには飲食店やその他の商業施設などもなく、食事をしようと思えば、空港で済ませるしかありません。

ところが、これまた多くの地方空港と同様、ここもそれほどたくさんの飲食店が入っている空港ではなく、ラーメンとお蕎麦のお店が1店づつ、レストランが1店しかない空港ですので、お客にとっては選択肢が限られており、言ってみればそれぞれのお店で独占に近い状態となっています。

こうした状態になると何が起こるかというと、たとえ、味が悪くて、値段が高くても、あるいは店員さんの態度があまり良くなくても(決してその空港がそうだと言ってるわけではありませんが…。言ってますか?)、お客はそこで食べざるをえなくなりますから、お店を続けていくことが可能になったりします。

街中などでまわりに競合店が多ければ、こうしたお店は淘汰されていきますから、安くておいしく、店員さんの接客態度もいいといったお店が自然と残るようになります。すなわち、適正な競争が働いてこそ、私たちはよりよいサービスを享受できるということです。

ただ、お客にとってはありがたい適正な競争も、ビジネスを行う立場からみると、とたんに大変になります。常によりよいサービス、よい製品づくりに努力を続けないと、競合他社に負けてしまい、ビジネスを続けられなくなってしまうからです。京セラの稲盛和夫氏はこれについて、「誰にも負けない努力」の重要性を強調します。

「誰にも負けない努力」というと、何か特別なことのように思われるかもしれませんが、成功するために行うというようなものではなく、植物でも動物でも、この自然界において生きとし生けるものすべてがただ生き残っていくために行っていることを、人間もその自然の摂理に則って行わないと、結局は生き残っていけないということです。

ビジネスを行う立場にとってはありがたい「独占」の状態も、自然の摂理からすると長くは続かないということが言えるのかもしれませんね。

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