西俊輔の「毎日楽しく」

Vol.135 2016年11月号

お正月恒例のイベントである箱根駅伝ですが、2か月後にせまった来年の箱根駅伝の本戦に先立ち、先日行われた予選会で波乱がありました。これまで出場回数と優勝回数で歴代1位に輝き、連続出場回数では87回連続出場でダントツの1位だった中央大学が、90年以上続いていた連続出場の歴史に終止符をうち、来年の箱根駅伝に出場できなくなりました(戦争などで途中開催できない年もあったそうで、大会の開催数と年数とは一致してません)。90歳以上の方でない限り、中央が出場していない箱根駅伝は見たことがないということですから、これは大変なことです。予選会に出場していた選手たちや監督はいたたまれません。もちろん、中央がいきなり弱くなったわけではなく、その予兆は何年も前から現れていました。箱根駅伝では10位までに入ると予選会をパスして翌年の本戦に出場できるシード権が与えられますが、2013年の大会では中央が30年近く獲得し続けていたこのシード権を失いました。また、青山学院大学や明治大学といったライバル校が数年後を見据えて強い選手の獲得に力を入れていたのとは対照的に、中央は強い選手を獲得できず、ここ何年も本戦では苦戦していて、去年の予選会もギリギリでの通過でした。駅伝に詳しい人たちにとっては、そう遠くないうちにこうした日が来ることをある程度は予想できていたのかもしれません。その原因のひとつとしてあげられているのが、同校の「伝統」です。

これまでは決して箱根の強豪校でなかった青山学院を2連覇に導いた監督の原さんはこれを機に有名になり、駅伝のみならず、ビジネスにおける組織論にも通じるということで、書籍を出版したり、テレビに出たりとすっかり時の人になりました(ただ、何か月か前に駅伝出場メンバーによる暴行事件が報道されましたが、人をコントロールするのは本当に難しい…)。その原さんが自身の書籍の中で書いていたのが、業界の常識を疑え、ということでした。周囲の環境が変わっているのに自分が変わらないままでいるのは、変わらないのではなく「退化」だとも指摘し、古い体質が残ると言われる駅伝の世界で次々と新しいやり方にチャレンジしていたそうです。中央のように伝統がある学校ではそれが逆に足枷となって、なかなか業界の常識を変えるようなことができなかったのかもしれません。

私たちのビジネスでも業界の常識と言われることは数多くありますが、それにとらわれすぎていると、気づけば時代から取り残されている、ということになってしまうのかもしれませんね。

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