西俊輔の「毎日楽しく」

2017年10月号(Vol.146)

先日ある新聞に、スタッフ全員が認知症の方という料理店が3日間限定で東京都内にオープンした、という記事が出てました。たとえばハンバーガーを注文したらオムライスが出てきたとか、飲みかけのお茶が突然下げられたといったことがあっても、お客は「まあ、いいか」と笑顔で受け入れるような寛容な社会を目指すことで、認知症の方々の社会参加の機会を作る試みだったそうです。

認知症への理解を呼びかける「世界アルツハイマーデー」というものがあるそうで、それに合わせて福祉施設の関係者が企画し、既存のレストランを借りて認知症の60~80代の男女約40人が交代でスタッフを務めたそうです。スタッフを務めた84歳のある女性は、「お客さんとたくさん話ができて楽しかった」ということだったそうですが、この試みはひとつ間違えると主催者の意図が正しく反映されたものにならない危険があるなと感じたのは、きっと私だけではなかったと思います。

 注文を間違えられることなどに寛容なお客だけであればいいのですが、認知症の方々がどんな間違いをするのか見るのを楽しむために来るお客がいるとすれば、認知症の方々が見世物になってしまう可能性があるからです。60~80代というと普通であれば仕事を引退する年齢ですが、認知症だけに、このイベントに参加したいというご本人の積極的な意思がないままスタッフをさせられることがあるとすれば、そうした危険性はいっそう高くなるかもしれません。

15年近く前に閉店してしまいましたが、JRの札幌駅構内にあった、ある小さなケーキ屋さんはスタッフが聴覚障害者の方々だけというお店でした。注文なども身振り手振りや筆談で行うというお店で、27年もの長い間営業していたそうですが、ケーキ納入会社の倒産による影響で閉店してしまったそうです。ただ、こちらのお店はスタッフとして働きたいという聴覚障害者の方ご本人の明確な意思表示があったと思いますし、年齢もお若い方が多かったようです。

病気や障害を持った方々の社会参加は、そのやり方がすごく難しいと思いますが、健常者となんら区別することなく、ごく普通に社会参加できるような機会を作るのがきっと理想なんでしょうね。みなさんはどう思われますか?

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