西俊輔の「毎日楽しく」

2018年7月号(Vol.155)

 カラオケ大手のシダックスが、同業他社にカラオケ事業を売却する、というニュースが先月末に出てましたね。カラオケ市場そのものが縮小していることに加え、客単価の下落による採算悪化もその理由だそうです。その客単価が下落した理由のひとつに、一人でカラオケボックスを利用する「ひとりカラオケ」が増加しているという事情があるそうで、会社帰りにグループで訪れ、お酒を含む飲食をしながら大勢で歌うという使い方が減り、料金が安い昼間の時間帯に飲食をせず一人で利用するという形態が増えているそうです。さらには、仕事や昼寝など、カラオケ以外の目的での利用も増えているんだとか。

  また、かつてノートパソコンを世界で初めて発売し、20年ほど前までは世界シェアもトップだった東芝が、そのパソコン事業をシャープに売却するというニュースも出てました。その売却先のシャープもかつてパソコン事業を売却し、実は現在、会社そのものが台湾の会社の傘下に入っています。国内のパソコンメーカーではNECと富士通のパソコン事業もすでに中国のレノボグループの傘下に入っています。

  シダックスにしろ東芝にしろ、今回は一事業部門の売却ですが、その理由はいずれも不採算で利益が出てないことが原因となっています。大企業であれば不採算の事業を売却するなどで生き残ることも可能ですが、一般の中小企業では、事業が不採算になることはそのまま会社の存続に係る問題になりかねません。少し前のデータですが、会社の「平均寿命」は23年程度と言われているそうで、人間と同様、会社もまた、生まれて成長し、やがて老いて死んでいくというライフサイクルがあることは否定できないようです。ただ、それぞれの会社の寿命には大きな差があり、設立してすぐ倒産してしまう会社もあれば、1,400年以上(!)続く会社もあり、人間と違って、平均寿命よりはるかに長生きすることも会社の場合は可能なようです。

  以前、会社には「成長」か「死」しか無いと言った経営者の方がいましたが、一見極端に感じられるこの言葉も、人間の人生と同様のライフサイクルを考えれば、あながち極端ではないようにも思えてきます。「成長」か「死」しかないとすれば、多くの方々は「成長」を選ぶしかないはずですが、みなさんはどう思いますか?

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