令和7年3月決算の留意点
3月は多くの企業が決算を迎える月でもありますので、経営者の方々は今期の決算申告をどうするか考えている時期ではないでしょうか。そこで今月は、今年度に適用可能な優遇税制などのうち、中小企業向けのものの一部をご紹介します。
① 賃上げ促進税制
昨年の3月が適用期限だった賃上げ促進税制が一部改正されて期限が延長されました。青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下の法人等。以下同様)に適用される賃上げ促進税制について、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度は、従業員に対して支払った給与の総額が前年度の支給総額と比べて1.5%以上増加した場合には増加額の15%分の、2.5%以上増加した場合には増加額の30%分の税額控除(法人税額の20%が上限。以下同様)が受けられます。さらに教育訓練費の額が前年度と比べて5%以上増加しているなどの上乗せ要件を満たした場合には税額控除率が10%~15%上乗せになり、上乗せ要件を併せて最大45%の税額控除が可能です。また新たに、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額は、5年間の繰越が可能になりました。
※その他、詳細はお問合せください(以下同様)。
② 中小企業投資促進税制
青色申告の中小企業者等が、機械装置等を令和7年3月31日までに取得して指定事業の用に供した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円以下の法人が対象)が受けられます。対象となる資産は、新品の、機械装置(1台160万円以上)、測定工具及び検査工具(1台120万円以上、又は、1台30万円以上で合計額が120万円以上)、一定のソフトウェア(1つ70万円以上、又は、複数合計で70万円以上)、貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)等です。
③ 少額減価償却資産(30万円未満)の特例
青色申告の中小企業者等について、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)の取得価額の全額を経費にできる特例の適用期限が令和8年3月31日までの取得分に延長されました。ただし、1事業年度当り合計300万円が上限で、貸付けの用に供したものは対象外です(除外規定あり)。
④ その他
青色申告の中小企業者等が経営力向上計画を作成して中小企業等経営強化法の認定を受けた上で、令和7年3月31日までに一定の設備等を取得して指定事業の用に供した場合には、即時償却又は取得価額の7~10%の税額控除が受けられます(中小企業経営強化税制)。対象は新品の機械装置(1台160万円以上)や、一定の工具・器具備品(1台30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(1つ70万円以上)です。ただし、適用を受けたい事業年度中に経営力向上計画を作成し中小企業等経営強化法の認定を受けなければ、この税制の適用はできませんのでご注意ください。
※上記②・④の税制については、税額控除は2つ合わせて法人税額の20%が上限。税制改正により要件見直しの上で、適用期限が2年延長される見込みです。