2015年中に中小企業がやらなければならないマイナンバー対策
2015年10月号 Vol.158
いよいよ10月から皆さん一人ひとりにマイナンバーが通知されはじめます。中小企業の社長様や経理担当者様がマイナンバーの実際の運用が始まる来年1月までにどのようなことを押さえておけばよいのか、どんな処理をすればよいのかを確認しておきましょう。
1.マイナンバーの管理者・事務担当者を決める
マイナンバー制度には管理者と事務担当者を配置する必要があります。管理者は、集めたマイナンバー情報を管理監督する役目を担います。事務担当者は、従業員からマイナンバーを聞きデータにまとめ、税務署やハローワーク、健康保険組合、年金事務所などに対して各種手続きに必要な番号を報告する役目を担います。
中小企業でいえば、事務担当者は経理担当者が、管理者は社長が担うことが多いと思われます。
2.マイナンバーの管理を徹底する
従業員から集めたマイナンバーの管理については、セキュリティ対策も含めて厳重に扱わなければなりません。マイナンバーの取扱いは事務担当者と管理者だけに限定し、他の従業員や部外者には見られないよう対策が必要です。
たとえばパソコンで管理する場合、パソコン本体を鍵のかかるロッカーに入れたり、マイナンバーが表示される画面を他の人から見えない位置に配置したりする必要があります。
3.マイナンバーの利用目的を従業員に告知する
マイナンバーを集めるときは、利用目的を本人に明示しなければなりません。複数の利用目的をまとめて明示することができます。多くの場合、次の6点に限られます。
・源泉徴収票の作成
・健康保険の届出
・厚生年金の届出
・雇用保険の届出
・労働保険の届出
・国民年金第3号被保険者の届出
これらの目的に利用する旨を伝えるとよいでしょう。
4.従業員からマイナンバーを集める
紛失防止のためマイナンバーの通知カードが届き次第、会社側で集めておくことをおすすめします。マイナンバーを集める必要があるのは、以下の方々です。
・正社員
・契約社員(嘱託)
・パート・アルバイト
・1~3の扶養家族
派遣社員については派遣会社が集めるので、自社でマイナンバーを集める必要はありません。マイナンバーを集める時には、通知カードによる番号確認のほか、運転免許証などによる本人確認が必要です(入社時に行っている場合は不要)。従業員の扶養家族の本人確認については、従業員本人が行う決まりなので、会社で行う必要はありません。
5.マイナンバー制度開始後
マイナンバーの実際の利用は2016年1月からです。初めて会社内で利用するタイミングは以下の場合です。
・社員の入社時(社会保険の加入手続き)
・社員の退職時(社会保険の脱退手続き)
・2016年度の従業員の年末調整
・在職従業員の各社会保険への番号通知(時期未定)
それぞれの手続き時には、マイナンバーを記入する欄が設けられる予定です。制度自体がまだ整備段階のため現時点では不明点もありますが、本年度中は以上の項目を押さえておけば問題ないでしょう。一覧に戻る