決算書から読み解く自社の経営力② ~生産性編
自社の「経営力」を客観的に知るための指標にはいくつかありますが、代表的なものとして収益性(どのくらい儲ける力があるのか)と、生産性(ヒト・モノを活かしてどれだけ効率的に売上・利益を獲得できているか)を測る数字が挙げられます。これらの数字を調べるのに欠かせないのが決算書です。前回の収益性編に続き、今回は生産性の数字を決算書から読み解く方法について見てみましょう。
生産性をチェックするには、決算書の売上高と売上総利益(≒限界利益)及び人件費、そして従業員数を使います。これらの数字から生産性を分析することができます。
1人当たりの限界利益を計算する
限界利益(≒売上総利益)を従業員数で割り、従業員1人当たりの限界利益を求めます。それを時系列で比較したり、あるいは同業者のデータと比較することで生産性をチェックします。もちろん、1人当たりの限界利益が高いほど生産性は高いといえます。
(計算式) 1人当たり限界利益 = 限界利益 ÷ 従業員数
労働分配率を計算する
生産性を分析するもう一つの指標として、労働分配率があります。これは、限界利益に占める人件費の割合です。
(計算式) 労働分配率(%) = 人件費 ÷ 限界利益 × 100
労働分配率は、その数字が高ければ高いほど人件費の負担が大きいことを意味します。一般に労働分配率は40%~60%と言われており、この数字が高過ぎる場合は生産効率が良くないと考えられるので注意が必要です。理想的なのは労働分配率が低く、1人当たりの人件費が高いという状態です。
生産性を表す数値が良くない場合は、つぎのような点をチェックしてみましょう。
- 人件費が世間相場より高過ぎないか?
- 人員が多過ぎないか?
- 福利厚生費が高過ぎないか?
- 社員のモチベーションが下がっていないか?
- 設備等が過剰になっていないか?
- 設備が老朽化し、生産効率が下がっていないか? など
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