「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」が創設されました
2016年 9月号(Vol.169)
地方公共団体が行う地方創生事業に寄附をした企業に対して税額控除の優遇措置を新たに講じ、地方創生に取り組む地方を応援するという「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税制度)」が平成28年4月に創設されました。今回は制度の概要と優遇措置の内容をご紹介します。
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●制度の概要
地方版総合戦略に基づく特定の事業(注1)に対して企業が寄附を行った場合に、その寄附について税の優遇措置を受けることができます。
- (注1) 自治体が地域再生法に基づく地域再生計画を策定し、国の認定を受けることが必要です。
(平成28年8月2日内閣府地方創生推進事務局発表「平成 28 年度第1回対象事業」は102件)
- ■制度活用にあたっての留意事項
- ・地方公共団体は寄附を行う企業に対し、寄附の代償として経済的な利益を供与してはならない(お礼品はありません)
- ・企業の本社が所在する地方公共団体への寄附については、本制度の対象外(市町村事業の場合は同一市町村、都道府県事業の場合は同一都道府県は対象外)
- ・1回当たり10万円以上の寄附が対象
- ・本制度の対象期間は平成28年度から平成31年度まで
- ・本制度の対象外団体があります(東京都など)
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●優遇措置の内容
国が認定した地方創生事業に対する寄附を行った企業に対し、寄附額の3割に相当する額の税額控除が行われます。現行の地方公共団体に対する法人の寄附に係る損金算入措置による軽減効果(約3割)と合わせて、寄附額の約6割に相当する額が軽減されます。
- ■税目ごとの特例措置の内容
- 1.法人住民税
- 寄附額の2割を税額控除(法人住民税法人税割額の20%が上
- 2.法人税
- 法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に相当する額から法人住民税の控除額を差し引いた額を控除(寄附額の1割、法人税額の5%が上限)
- 3.法人事業税
- 寄附額の1割を税額控除(法人事業税額の20%(注2)が上限)
- (注2)地方法人特別税廃止後は15%
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税制措置のイメージ
出典 内閣府地方創生推進事務局発行地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用の手引き
※企業が地方自治体に寄付する場合は、その全額が損金算入されるため、寄付額の約3割(法人実効税率)相当額の税の軽減効果があります。