ふたば便り

平成29年3月決算の留意点

2017年 3月号(Vol.175)

個人の確定申告期限(3月15日)が迫ると同時に、多くの3月決算企業も今事業年度の終了が近づいています。今年度から創設または変更になった制度、時限的な優遇税制のうちこの3月で適用が終わる制度や適用期限が延長された制度など、今月は3月決算企業の留意点についていくつか確認しておきましょう。

  • 【企業版ふるさと納税】

平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間に、企業が地方公共団体の一定の地方創生事業に対して寄附を行なった場合、従来の処理(寄附金の費用処理)に加えて、最大で寄附金額の30%まで税額控除(納税額の免除)ができるようになりました(1回当たり10万円以上の寄附が対象)。
※実際の適用に当たっては、細かい条件等がありますので、事前に専門家に確認してください。(以下同様)

【法人税率の引き下げ】

平成28年4月1日以後に開始する事業年度における法人税率が、23.9%から23.4%に引き下げられます(平成30年4月1日以後開始事業年度にはさらに23.2%に引き下げられる予定)。
※但し、中小法人(資本金1億円以下)は引き続き、課税所得800万円までについて15%の軽減税率が適用されます。

【減価償却制度の見直し】

平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備や構築物については、定率法による減価償却が廃止され、定額法のみとなります(法人だけでなく個人も同様です)。

【所得拡大促進税制】

青色申告法人が、従業員に支給する給与や賞与を一定割合以上増やした場合、当該増加額の10%を税額控除できる(中小法人等は最大で法人税額の20%、その他は10%が控除)という制度です。比較対象期間と増加割合ですが、3月決算企業の場合、平成25年3月期の給与総額と比較して3%以上の増加、となっています(中小法人等の場合)。

【生産性向上設備投資促進税制(今年度で終了)】

青色申告法人が一定規模以上の先端設備または生産性を改善するための設備(新品)を取得した場合、特別償却(最大で取得価額の50%を費用処理)または税額控除(最大で法人税額の20%が控除)できる制度ですが、平成29年3月31日をもって適用終了となります。対象となる設備は、1台160万円以上の機械装置、1台30万円以上かつ合計120万円以上の工具・器具・備品、120万円以上の建物・構築物、1台60万円以上かつ合計120万円以上の建物附属設備、1個70万円以上のソフトウェア等です。
※但し、中小企業者等に対しては平成29年度から同様な優遇税制である中小企業経営強化税制が創設される見込です。

【中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例その他】

従業員数1,000人以下の中小法人等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合にその全額を経費にできる制度や、交際費等の損金不算入制度(中小法人以外も接待飲食費の50%を経費にできる等)は、平成30年3月31日まで期限延長になっています。

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