ふたば便り

利益向上のための4つの手段 ~利益を最も増やせる方法は?

2017年 9月号(Vol.181)

今期の利益をできるだけ増やしたい、という目標を立てたとしましょう。そのための手段として、次の4つの方法のうち、最も利益を増やせるのはどの方法でしょうか?

①固定費を3%減らす

②変動費を3%減らす

販売数量を3%増やす

④販売単価を3%上げる

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 前期の収支が上図の通りで、今期も変更する条件以外は同様の条件だとした場合、それぞれの方法について、シミュレーションしてみましょう。

 

①固定費を3%減らす

 前期の固定費が4,800万円なので、これを3%減らした場合固定費は4,656万円となるため、利益は売上高1億5,000-変動費1億-固定費4,656=営業利益344万円となり、営業利益は前期(200万円)の1.72倍になります。

 

変動費を3%減らす

前期の変動費が1億円なので、これを3%減らした場合変動費は9,700万円となるため、 売上高1億5,000-変動費9,700-固定費4,800=営業利益500万円となり、営業利益は2.5倍になります。

 

③販売数量を3%増やす

販売数量は5,150個となり売上は1億5,450万円、変動費も1億300万円に増えるため、売上高1億5,450-変動費1億300-固定費4,800=営業利益350万円となり、営業利益は1.75倍になります。

 

販売単価を3%上げる

販売単価は30,900円となり売上が1億5,450万円になりますが、変動費は変わらず、売上高1億5,450-変動費1億-固定費4,800=営業利益650万円となり、営業利益は3.25倍です。

 

 以上から、この場合は販売単価を3%上げる方法が最も効果的であることが分かります。それでは逆に、販売単価が下がった場合はどうでしょうか? 仮に販売単価が2%下がったとしたら年間の売上は1億4,700万円になり、その他の条件が変わらなければ営業利益はマイナス100万円の赤字に転落してしまい、販売単価を引き下げる影響も大きいことがわかります。

 このように、利益を向上させるためには固定費や変動費の削減だけでは限界があり、また販売数量の増加よりも、自社の商品やサービスの付加価値を高めてより高い販売価格を設定できるようにすることが重要であると言えます。実際には、販売価格を上げるだけでなく、上記4つの方法を組み合わせて利益を増やしていく必要があります。また全社ベースの損益だけでなく、販売する商品ごとにこのような収支モデルを作成して、それぞれの販売価格や原価(変動費)の目標値を設定して計画を立てることも、経営力を高める上では有効と言えます。

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