平成30年3月決算の留意点
2018年 3月号(Vol.187)
個人の確定申告期限(3月15日)が迫ってきましたが、多くの3月決算企業もまた今事業年度の終了が近づいています。今年度から創設または変更になった制度や今年度の決算で適用可能な優遇税制など、今月は3月決算企業の留意点についていくつか確認しておきましょう。
【30万円未満の少額減価償却資産】
青色申告の中小企業者(資本金1億円以下の普通法人等)で従業員数が1,000人以下の法人等であれば、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得したその年度で全額を経費にできる制度(年300万円が上限)が今年度も適用可能です。なお、この制度は税制改正により平成32年3月31日まで期限が延長される予定です。
【投資促進税制】
青色申告の中小企業者が経営力向上計画を作成して「中小企業等経営強化法」の認定を受けている場合には、以下の2種類の設備投資減税が適用できます。
1.中小企業経営強化税制
一定の生産性向上設備や収益力強化設備を取得した場合、即時償却または取得価額の7~10%の税額控除(法人税額の20%を限度とする)が可能になりました。対象は新品の機械装置(1台160万円以上)、工具・器具・備品(1台30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(1個70万円以上)等で、事務用器具備品や福利厚生施設等は対象外です。
2.固定資産税の特例
一定の機械装置、器具備品、建物附属設備等を取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。
【中小企業投資促進税制】
青色申告の中小企業者が一定の新品の機械等を取得した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除の適用が可能です。対象となるのは新品の機械装置(1台160万円以上)、ソフトウェア(1個70万円以上)、貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)等です。なお、税額控除については上記の中小企業経営強化税制の控除税額と合計で法人税額の20%が限度となりますが、こちらは同税制のような認定を受ける必要はありません。
【所得拡大促進税制】
青色申告法人が平成29年度中に従業員に対して支払った給与総額が基準年度(平成24年度)の支給額と比べて一定以上増加するなど一定の要件を満たす場合、従来の税額控除額(支給増加額の10%)に加えて、更に前年度からの増加額について税額控除が上乗せされます(中小企業は支給増加額の12%上乗せ)。
なお、固定資産税の特例や所得拡大促進税制については、税制改正により、平成32年度末までを適用期限として、更に拡充される予定です。