平成31年3月決算の留意点
2019年3月号(Vol.199)
個人の確定申告期限(3月15日)が迫ってきましたが、多くの3月決算企業もまた事業年度の終了が近づいています。今年度から創設または変更になった制度や今年度の決算で適用可能な優遇税制など、今月は3月決算企業の留意点についていくつか確認しておきましょう。
●所得拡大促進税制
平成30年度税制改正により、従来から設けられていた所得拡大促進税制について、基準年度(平成24年度)の給与総額との比較が廃止された他、税額控除率の拡充、適用要件・上乗せ要件の見直しなどの改正が行われました。
青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下の普通法人等)が平成30年4月1日から33年(2021年)3月31日までの間に開始する事業年度において、従業員に対し支払った給与の金額が前年度の支給額と比べて一定以上増加し、かつ一定の要件を満たす場合、支給増加額の15%の税額控除(法人税額の20%が上限、以下同様)が可能です。
更に、教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加している等の一定の要件を満たす場合には、10%の税額控除が上乗せされます(支給増加額の25%の税額控除)。尚、大企業(資本金1億円超の法人等)については給与支給額の増加の他、一定の国内設備投資が要件として追加されています。
●少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入の特例
青色申告の中小企業者で従業員数1,000人以下の法人等が、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その全額(年300万円が上限)を経費にできる制度は、平成32年(2020年)3月31日までの取得分について適用されます。
●中小企業経営強化税制(適用期限延長予定)※
青色申告の中小企業者等が経営力向上計画を作成し、経済産業局等に申請して「中小企業等経営強化法」の認定を受け、一定の生産性向上設備等を取得した場合、即時償却または取得価額の7~10%の税額控除(法人税額の20%が上限)が可能です。対象は新品の機械装置(1台160万円以上)、工具・器具・備品(1台30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(1個70万円以上)等で、事務用器具備品や一部の設備等は対象外です。
●中小企業投資促進税制(適用期限延長予定)※
青色申告の中小企業者等が一定規模以上の新品の機械等を取得した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円以下の法人が対象。中小企業経営強化税制の控除税額と合計で法人税額の20%が上限)の適用が可能です。対象となるのは新品の機械装置(1台160万円以上)、ソフトウェア(1個70万円以上)、貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)等です。