ふたば便り

10月からの新・旧消費税率混在への実務対応

今年10月1日からの消費税率引上げによって、9月と10月にまたがる取引については、旧税率(8%)と新税率(10%)が混在することになるため、請求書等に記載された消費税率や消費税額をよく確認して処理する必要があります。今月は税率引き上げに伴う「経過措置」についてみていきましょう。

 

(1)「10月分請求書」についての注意点

 日々継続的に発生する取引をまとめて請求する場合、請求の締め日が月末でなく「20日締め」となっているときは要注意です。「10月分請求書」と書いてあっても実際の計算期間が「9月21日~10月20日」分であるときは、9月21日~30日の税率8%分と、10月1日~20日の税率10%分が混在していることになるので、経理処理の際に注意が必要です(場合によっては軽減税率・経過措置の税率8%分が10月以降分に混じることもあります)。

 

(2)10月1日をまたぐ請求書・取引についての注意点

電気・ガス・水道・電話等の料金…継続的に供給又は提供することが契約で決まっているもので、10月1日をまたぐ使用期間の料金について、10月31日までに料金が確定する分は、10月1日以後の分も含めて8%の旧税率になります。

バス・鉄道・航空機等の旅客運賃(定期券含む)…実際には10月1日以後の利用分であっても、9月30日までに料金が支払われたものは8%の旧税率になります。

不動産の賃借料…当月末に翌月分の事務所や店舗の賃借料を支払う不動産賃貸借契約では、今年9月末に支払う10月分の賃借料は10%の新税率になります。ただし、今年3月31日までに賃貸借契約が締結され、9月30日以前から引き続き不動産の貸付けが行われている場合には、一定の要件※1を満たせば経過措置の適用を受けて8%の旧税率になります。なお、住居の貸付けは非課税のため、税率引上げの影響はありません。

※1 事業者が賃借料の変更を求めることができない旨の定めがある、等の要件を満たす必要がありますので、一般的には経過措置の対象になる賃貸借契約は少ないと考えられます。詳しくはお問合せください。

リース契約(所有権移転外ファイナンスリース※2)…9月30日までに物件の引き渡しを受けた分は、10月1日以後に支払日が到来するリース料であっても8%の旧税率になります。

※2 契約上、中途解約すると残期間分の違約金を一括で支払うことになる等のリース契約です。該当するかどうかはリース会社にご確認ください。

複合機のカウンター料金(保守サービス料金)等…請求がたとえば毎月20日締めで、「9月21日~10月20日」分の取引が一まとまりの取引とみなされる場合には、原則として請求書の全期間が10%の新税率となります(上記(1)の取扱いと異なることにご注意ください)。

工事等の請負契約…今年3月31日までに請負契約が締結された工事(製造、ソフトウェア開発等を含む)は、経過措置の適用を受けて8%の旧税率になります。

 

 なお、経過措置の適用を受ける取引は上記以外にもありますので、詳しくはお問合せください。

 

 また、新・旧消費税率混在への実務対応に関する詳しい内容やご相談はこちらの「法人の税務顧問」のページにも記載しておりますので、合わせてご覧くださいませ。

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