ふたば便り

役員報酬に関する税務上の注意点

 多くの3月決算企業では、前年度の業績を受けて社長を含む役員に支払う報酬を新年度から見直すことを検討していると思いますが、今年は新型コロナウィルスの影響もあり、報酬の減額を検討しているところが多いかもしれません。役員と株主が同一人物である場合が多い中小企業では、役員の報酬金額を決める際、税務上注意したい点がいくつかあります。今月はこの役員報酬の取り扱いについてみていきましょう。

 

【役員報酬に係る税務上の注意点】

オーナー企業である中小企業の場合、会社の業績に合わせて社長や役員の報酬を増減させることが簡単ですから、これを自由に認めてしまうと会社の利益と税額を自由に調整することが可能となってしまいます。そこで税務上は、そうした行為による納税額の調整に制限を加えるため、役員報酬の金額の変更については、増額する場合はもちろん、減額する場合であっても一定の要件を満たしていないと変更した報酬を会社の経費として認めないと決められています。

 

【税務上、経費にできる役員報酬の条件】

一般的な中小企業の役員報酬が税務上の経費として認められるのは、主に次の①・②のいずれかの場合です。

  • 定期同額給与

毎月支給される役員報酬は同じ金額でなければなりません。ただしこの定期同額給与は、事業年度開始から3か月以内であれば、金額を改定することができます(3月決算であれば6月までに改定)。

  • 事前確定届出給与

役員にボーナスを支給する場合は定期同額給与に該当しないので、通常は会社の経費として認められませんが、支給する時期・金額等をあらかじめ税務署に届け出ておけば、経費とすることができます。ただし、届け出た金額通りに支給しないと、経費として認められません。

 

これら以外にも社長の家族や親族が役員の場合、勤務実態と支給額が見合っておらず、不相当に高額であるとみなされると、その部分が経費として認められない可能性もありますので注意が必要です。

また上記の趣旨から、期首から3か月以内の時期以外で役員報酬を改定した場合には、それがたとえ役員報酬を減額する場合であっても、原則として報酬の一部が会社の経費として認められませんが、会社の業績が悪化するなど一定の事由に該当する場合には減額が認められる場合もあります。たとえば今回の新型コロナウィルスの影響で会社の業績が著しく悪化し、家賃や従業員の給与支払いも困難になるなど、期の途中で役員報酬を減額せざるをえない場合には、減額に正当な事由があるものとして認められる可能性が高いと思われます。

 

役員報酬を改定する際にはこの他にも注意点が多くありますので、専門家ともよく相談して決めるようにしましょう。

 

これらの内容は弊社ふたば税理士法人でも対応しております。
詳しく知りたい場合は税務・会計・顧問サポートのページをご覧ください。

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