ふたば便り

令和4年3月決算の留意点

3月に入り、多くの3月決算企業の経営者の方々にとって、今期の決算申告をどうするか、考えている時期ではないでしょうか。そこで今月は、今年度に適用可能な優遇税制などのうち、中小企業向けのものの一部をご紹介します。

中小企業投資促進税制

青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下の法人等。以下同様。)が、機械装置等を令和5年3月31日までに取得した場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円以下の法人が対象)が受けられます。対象となる資産は、新品の機械装置(1台160万円以上)、ソフトウェア(1つ70万円以上)、貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)等です。

尚、令和3年4月1日以降取得分について、対象となる指定事業に不動産業、物品賃貸業、一定の者が行う料亭・バー等が追加されました。そしてそれに伴い、従来の商業・サービス業・農林水産業活性化税制は令和3年3月31日をもって廃止され、この中小企業投資促進税制に統合されました。

中小企業経営強化税制

青色申告の中小企業者等が経営力向上計画を作成して中小企業等経営強化法の認定を受けた上で、令和5年3月31日までに一定の設備等を取得して指定事業の用に供した場合には、即時償却又は取得価額の7~10%の税額控除が受けられます。対象は新品の機械装置(1台160万円以上)、工具・器具・備品(1台30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(1つ70万円以上)等で、従来の「生産性向上設備」や「収益力強化設備」に加えて「テレワーク等のための設備」も対象になっています。なお、事務用器具備品や本店・寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るものは対象外です。

 ※上記①・②の税制で使える税額控除は、2つ合わせて法人税額の20%が上限ですので、ご注意ください。

所得拡大促進税制

青色申告の中小企業者等に適用される所得拡大促進税制について、令和3年4月1日から令和5年3月31日★1までの間に開始する事業年度では、従業員に対し支払った給与の総額が前年度の支給総額と比べて1.5%以上増加した場合には、その増加額の15%分の税額控除(法人税額の20%が上限。以下同様)が受けられます。さらに、その支給総額が前年度と比べて2.5%以上増加し、なおかつ教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加するなど一定の要件を満たす場合には、25%分の税額控除が受けられます。(従来あった継続雇用者要件は廃止になりました。)

★1 令和4年度税制改正により、適用期限が1年間延長され、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からは、支払った給与の総額が前年度と比べて2.5%以上増加した場合、その増加額の30%分の税額控除が可能になる見通しです。

その他、青色申告の中小企業者等が、取得価額30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)について取得価額の全額(1事業年度当り300万円が上限)を経費にできる制度も引き続き適用可能で、令和6年3月31日まで延長になる予定です(ただし物品賃貸業者・不動産賃貸業者以外が貸付の用に供した資産は、次年度以降、この取得価額全額を経費にできる制度の対象外になる見込みです)。

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