西俊輔の「毎日楽しく」

クマ被害の原因は人間にも

 今年はクマの出没に伴う人身被害の報道がすごく多かったですね。クマに襲われて死亡したとみられる人の数は11月3日時点ですでに13人と、統計を取り始めた2006年度以降で最も多い数になってるそうで、もちろん現在もまだ連日のようにニュースになってますから、収まる気配はまったくありません。そうした中、ある新聞記事で読んだその原因が気になりました。

 人が住むエリアにクマがひんぱんに出没するようになった直接の原因はもちろん、クマの餌になるドングリなどの木の実が不作でクマの生息エリアで見つからないから、ということですが、ではその不作の原因はなにかといえばひとつは温暖化などですが、それ以外にも、戦後、林業用としてスギやヒノキが人の手によって数多く植えられるようになったことも原因のひとつと言われているそうです。スギの植林は江戸時代から始まったそうですが、1950年代からの高度経済成長期、住宅を始めとする建物建築の需要に応えるために、成長が早いスギやヒノキが数多く植えられ、こうした人の手によって植えられた「人口林」は日本の森林全体のなんと4割、スギはその人口林の中の4割を占めるまでになってるそうです。ところがその後、海外から価格の安い木材が輸入されるようになるとこうしたスギやヒノキが使われなくなり、木材にするのにちょうどいい時期を迎えているスギやヒノキは伐採されないままとなって、代わりにクマなどの餌になる木の実をつける他の木の数が減っているんだそうです。そしてもちろん、スギやヒノキは日本人の国民病とも言われている花粉症の原因にもなってるわけですが、花粉症の人が増えてきた背景には実はこうしたこともあるんだそうです。そう考えると、クマの出没が増えているのも、花粉症が増えているのも、すべては人が原因と言えなくもありません。いったん、人里に降りてきてそこに餌があることを覚えてしまったクマは駆除するしかないと言われてますが、このニュースが増えてきたころから、駆除されるクマがかわいそう、という意見も出て物議をかもしています。もちろんクマはかわいそうですけど、襲われる人間もかわいそうですから、人の命を助けるのにそれしか無いなら仕方ありません。今から100年以上前の大正時代に北海道で起きた「三毛別ヒグマ事件」が国内最悪のクマ被害として有名ですが、この事件を知ると、クマには申し訳ありませんが、クマの駆除もやむを得ないのかなと思いますけど。

さて、今年もみなさまには大変お世話になり、ありがとうございました。
来年もみなさまにとって良い一年になりますように。

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