西俊輔の「毎日楽しく」

2015年12月号 Vol.124

みなさんは「青い鳥症候群」という言葉を聞いたことはありますか?

青い鳥というのは、ベルギーの詩人で作家でもあるメーテルリンクの「青い鳥」という作品にちなんだものです。有名な物語なのであえて説明するまでもないでしょうけど、チルチルとミチルという幼い兄妹が青い鳥をさがして旅に出るという物語です。青い鳥というのは幸せをあらわす象徴的な存在で、青い鳥(すなわち幸せ)を探して旅に出たけど、旅先では結局それは見つからず、旅に出る前の自分のすぐ身近なところに実は青い鳥がいた、というのが物語の結末です。この、幸せを求めてあちこち旅することにちなんで、  今就いている仕事よりもっと自分に合った仕事が他にあるはずだ、あるいはもっと良い職場が他にあるはずだといって転職を繰り返す人たちのことを、「青い鳥症候群」とよぶそうです。

「石の上にも三年」、「隣の芝生は青く見える」など、こうした状況を戒めることわざは日本にもいくつかありますが、たしかにより良い仕事や職場を求めてひんぱんに転職を繰り返しても、希望どおりの仕事を見つけられる人はなかなか少ないのかもしれません。転職の理由は人それぞれですから、転職を繰り返すこと自体がすなわち幸せになれない、ということではもちろんありません。ただ、現状が厳しいので他にもっといいところが、という理由で転職をすると、転職先でも厳しい現実が待っているというのは間違いなさそうです。現状に幸せを見出すことができなければ、どんな状況になっても幸せを見出すことは難しいのかもしれません。

この「毎日楽しく」では何度も書いてますが、お金があるからとか地位や名誉があるから、あるいは周りの人たちがいい人たちばかりだから幸せになれる、ということではないと私は思っています。幸せになるかどうかは、結局はその人の心の持ち方しだいだと私は思っています。どんな状況にあっても自分は幸せだと思えば、今この瞬間にも幸せになれるわけです。今就いてる仕事も、自分の「天職」だと思って毎日を過ごす人には、きっとすばらしい道がひらかれると私は思っていますが、みなさんはどう思いますか?

さて早いもので今年ももう12月ですね。みなさまには今年も本当にお世話になりました。ありがとうございました。来年もみなさまにとって良い一年になりますように。

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