西俊輔の「毎日楽しく」

2014年08月号 Vol.108

おかげさまでこの「毎日楽しく」も今月で丸9年となりました。当初は1年ももつんだろうか、という思いで書いていましたが、これもひとえに読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございます。

さて、最近、地方議会の議員さんが何かと話題になることが多かったですね。飲酒運転で事故を起こして逮捕されたり、禁止薬物を所持・使用して逮捕されたり、公衆の面前で号泣して話題になった議員さんは政務活動費(別名「せいかつひ」(生活費?)とも言うんだそうです)は議員の活動全体からみると小さな問題と発言していました。

この原稿を書いている直前には、飛行機の中でお酒に酔って一般客につかみかかった上、客室乗務員の方に暴言を吐いた議員さんが辞職したなんてニュースもありました。議員さんというのは公務員と同様、本来は国民にお仕えする公僕であるという考え方もあるそうなので、その場合には国民のほうが上で議員さんは立場が下ということになるのですが、一般には議員さんのほうがエライと考えられてますよね。飛行機の機内で「暴れた」議員さんはさらに、飛行機の乗客で「お客様の立場」でもあったわけですから、その立場はさらに強いものだったんでしょう。

私は常日頃から、人は明らかに立場が強いときにこそ、その人の人間性が出る、というふうに思っています。たとえば上司と部下との関係での上司の言動や、お店でのお客様と店員さんという立場でのお客様の言動には、その人の人間性が出やすいと思っています。

逆に、立場が弱いときにはその人の本当の人間性は表に出づらいと思っています。ふだん、腰が低いと思っている人が飲食店などで店員さんにきつくあたっていたりするとすれば、きつくあたっているほうがその人本来の姿に近いのかもしれません。

今の世の中は分業で成り立っています。生活していくために必要なことをすべて自分でまかなう完全な自給自足の生活であれば別ですが、いろいろな仕事があって、それをこなしてくれる人がいるからこそ私たちの生活が成り立っていると考えれば、みんなお互い様で、職業はもちろん、その立場には本来、上も下もないはずです。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がありますが、昔の人はいいことを言ったもんです。

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