2016年3月号(Vol.127)
中東シリアでの内戦が連日のようにニュースなどで報道されています。政府軍と反政府軍との争いに欧米諸国やロシアまでが加わり、そこへさらに過激派組織がテロまで起こすものですから、一般住民の方々はふつうに暮らすことなどできないのでしょう。近隣諸国に多くの難民が逃げ込んでいますが、最近はそれによる治安の悪化や、難民の中に過激派組織の人間がまぎれることを恐れて、これまで難民の受け入れに寛容だった国々もだんだんとその扉を閉ざしつつあるようです。
日本のまわりでも、まだ直接の武力衝突までは起こっていないものの、領土をめぐる問題や自国の主張を通すための武力による威嚇がエスカレートしつつありますし、こうしたことは日本のまわりに限らず、今現在も世界中で起こっていることなんでしょう。
人間はなぜ争いを起こすのでしょうか。
昔から言われてきたことですが決して解決されることなく、おそらくは人類の歴史が始まったときからずっと繰り返されてきたことだと思います。人間のそうした性質が、病気と同じく、一方では人口増加の抑制に役立っていることは否定できず、だからこそそれは人間の本質的な性質でもあり、将来にわたっても争いが完全に無くなることを期待するのは難しいのかもしれません。
でも、それが人間の本質だとしても、少なくとも、誰かの命令によって自分が希望しない戦争などへ強制的に参加させられてそこで命を落とすなんてことはまっぴらごめんですし、仮に、人口増加によって地球環境が破壊され、人類が生きていくことができなくなったとしても、望まない戦争で命を落とすことに比べればやむを得ないことなのかもしれません。
でも、人間には智慧があります。今の私たちには解決できないことでも、将来の人間なら解決できるようになっているかもしれません。ある宇宙飛行士が言ってたことですが、宇宙から見た地球には国境なんて見えないし、暗い宇宙にぽつんと浮かぶ小さな共同体にしか見えないそうです。世界の指導者の人たちにはぜひ一度、宇宙から地球を見てもらいたいものです。