西俊輔の「毎日楽しく」

2014年05月号 Vol.105

移動でJRを使うことの多い私ですが、先日、JRの車中でこんなことがありました。

いつもだいたい決まった席に座ることが多い私は、その日もいつもの席に座ろうと、いつもの車両に乗り込んでから車両内の狭い通路を歩いていました(この列車は両側がベンチシートになっている車両ではなく、2人掛けの席が両側に並んでいる長距離用の特急列車です)。

すると向こう側から列車の車掌さんが同じく通路を歩いてきます。車両内の狭い通路ですから普通にすれ違うのは困難で、どちらかが両側にある座席前のスペースによけてあげて、一方を通らせてあげなければなりません。

そのとき私は何も考えず、とっさに横の座席前のスペースによけてあげて、車掌さんを通してあげようとしました。

こういう場合、同じく車掌さんも座席前のスペースによけてくれてお客である私を先に通してくれようとするのかな?と、後から振り返ってみるとそう思ったのですが、実際には、私がよけてあげた通路を、特に申し訳ながるふうでもなく、普通に「おはようございます」と言って、その車掌さんは通り過ぎていきました。

この出来事を単に、「車掌さんの行動はけしからん!」と言って済ませてしまうのはもったいなかったので(笑)、私なりにそこから自分たちの仕事の仕方を振り返って学びはなかったかと考えてみました。

仕事というのは、つまるところ、誰かの役に立つことを目的とした行動だと私は思っています。生きていくためにはお金を稼がなければなりませんから、仕事をするのは生活していくため、すなわちお金を稼ぐことが仕事の目的だという見方ももちろんあります。

しかし、誰の役にも立たないことをやってお金をいただくことはできませんので、お金をいただけるということは誰かの役に立ったご褒美と考えることもできるわけです。そう考えるとお金を稼ぐことは副次的なものであって、誰かの役に立つことこそが仕事の本当の目的と考えることもできます。

誰かの役に立つために仕事をするのであれば、そこには当然、お客様に対する思いやりや、一緒に仕事をする仲間、その他仕事に関係する周りの人達に対する思いやりが必要になります。そんなことを考えてたら、はたして自分達はちゃんとできているのだろうかと、自分達のことが気になってしまいました。

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