2013年9月号 Vol.97
先日、ある読書会の課題図書で選んだ本がけっこうおもしろい本でした。
未来工業(株)という会社を創業した山田昭男さんという方の、「稼ぎたければ、働くな。」という本です。
本のタイトルから想像する、遊んで暮らして楽して稼ぐ、という意味では決して無く、多くの気付きをいただく本でした。
著者の山田さんは「カンブリア宮殿」をはじめとするいろいろなテレビ番組にも出ている有名な経営者の方だそうです。
多くの学びがある本ですが、私の印象に強く残ったのが次の2つです。
まず1つ目は、「上に立つ者の仕事は、(中略)部下のやる気を100%引き出して、働きやすい環境を永続的につくっていくことにある。」というところです。
こうしたことはこの本以外でもいろいろなところで言われていることですが、実際にはどうやってそれを実現させるのかが難しいところで、本では山田さん独自の方法がいくつか紹介されています。
経営者が一人で、あるいはごく少人数で小さなビジネスをやるのであれば、そうしたことを気にする必要もないのでしょうが、人を使って、なおかつ、経営者の目が届かない範囲にまでビジネスを広げようとすれば、こうした考え方は必須だと感じます。
特に、能力的に優秀な経営者ほど、なかなか人にまかせられず、ついつい自分でやってしまったり、人のやることに口を出してしまいそうになりますが、それではなかなか従業員のやる気を100%引き出すのは難しいのかもしれません。
2つ目は、「全従業員の30%は営業に回せ」というところです。
特に、中小企業ほどそうしなければならないと山田さんは言います。
多くの中小企業では財政的に余裕のないところが多いため、人を雇う場合には、ついつい本業の作業をこなせる人を雇いがちになりますが、財政的に余裕がないからこそ営業をして取引先を増やさなければならないのであって、少ない取引先に頼った事業ではあまりにもリスクが高すぎるという山田さんの考え方には大変共感できました。
そういえば、大きな会社では営業部や営業課といった、営業専門の人員をかかえて朝から晩まで仕事の受注を目指す人たちがいますが、中小企業にはそうした人員がいませんね…。