2017年3月号(Vol.139)
先月、大手牛丼チェーン店や焼肉チェーン店の名前で食べ放題やお食事券プレゼントといったキャンペーンがインターネット上に流れましたが、実はこれがそれぞれの会社が企画したものではない偽情報だったことが判明し、話題になりました。実際には存在しないこれらのキャンペーンに申し込みをさせて、悪質な広告メールなどが届くようにするための仕掛けだったようです。そして、このニュースに対する街の声ということでインタビューを受けていた、ある若い会社員風の男性が次のようなコメントをしていました。
(男性)「ネットの情報だと信じてしまうので、怖いですね。」
ネットの情報だからこそ簡単には信じられないのでは? とも思いますが、実はこうした現象は今回のアメリカ大統領選挙でも見られたようです。
トランプさんの勝利についてはいくつもの理由が挙げられていますが、そのうちのひとつに「フェイクニュース」(偽のニュース)の存在が挙げられています。たとえば、ローマ法王がトランプさんを支持しているとか、ライバル候補だったクリントンさんが、ある飲食店を児童虐待の拠点にしているといった根拠のない嘘のニュースのことですが、これによってトランプさんの選挙戦が有利になったとも言われているんだそうです。実際、クリントンさんが児童虐待の拠点にしていると言われた飲食店には、そのニュースを信じた男が銃を持って乱入したそうですが、もちろん、そのお店にはそんな事実は無かったそうです。
新聞や書籍など、従来の紙媒体のメディアであれば、まず情報発信する人が限られるので誰でもできるわけではないですし、それを公表するまでにもある程度の時間がかかり、多くの人の目を通ることになりますから、内容が検証され、一般には大きな間違いが出回る可能性が低くなりますが、現在のインターネットでは誰でも情報発信することができ、また、そのスピードも早いですから、内容がよく検証されない情報がそのまま、世の中に出回ることになります。
誰でも情報発信ができ、誰でもその情報にふれる機会がある今こそ、私たちは自分でその情報の真偽を確かめる目を持つ必要があるのでしょうね。