2017年8月号(Vol.144)
ドイツの自動車メーカーが今年の秋に世界で初めて、自動運転「レベル3」の車を発売する、というニュースが出てました。レベル3というのは、車を運転中、一定の条件の下でドライバーがハンドルから手を放してテレビなどを見ていられるレベルなんだそうです。この自動運転の「レベル」は「0」から「5」まであるそうで、現時点でもっともすすんでいる自動車メーカーのものがレベル2なんだそうです。ただ、レベル2までは自動運転というより人間の運転を支援する段階で、レベル3あたりからAI主体の自動運転と呼べるものになるそうなので、その意味ではいよいよAIによる自動運転の車が市販されるということになります。
最近は将棋や囲碁のソフトなどでもこの「AI(人工知能)」が話題ですが、私たちが思ってる以上にいろいろな分野でAIの活用がすすんでいるようで、あまり話題にはならないですがもちろん軍事利用もすすんでるといわれています。こうしたことからAIと関連の深い一部の大企業トップや著名な物理学者などは、取返しがつかなくなる前にAIの開発には一定の規制を設けるべきだと発言していることも気になる点で、自動運転の車など、便利になる面だけを見て喜んではいられないのかもしれません。
また少し前から、AIによって個々の人間の仕事が奪われるということも話題になっています。イギリスのオックスフォード大学から発表された論文によると、単純作業の仕事以外にも、銀行の融資担当者や保険の審査担当者といった、一見、経験やノウハウが必要と思われるような仕事でも、今後はAIに取って代わられるといわれてます。そして残念ながら、私たち会計事務所の仕事もAIに取って代わられる可能性の高い仕事に含まれています。逆に、AIに取って代わられにくい仕事には、芸術家のようなクリエイティブな仕事や、特定のコンサルタント業のような過去の経験の延長線上に無い仕事をする職種が多いようですから、AIに自分の仕事が奪われないよう、今後はあらゆる業種で、これまで以上により付加価値の高い、定型的ではない仕事をしていく必要があるのかもしれませんね。
冒頭の自動運転の車ですが、レベル5の自動車 はドライバーが不要になるそうですから、これが 普通に一般道を走るようになると、タクシーの運 転手さんもまた必要のない仕事になってしまうか もしれませんね・・・。