2017年12月号(Vol.148)
1997年11月に北海道拓殖銀行(以下、「たくぎん」)と山一証券(以下、「山一」)があいついで破綻してから先月でちょうど20年になりました。たくぎんの破綻は都市銀行としては日本初、山一も四大証券の一角という大手証券会社で、誰もが倒産しないと考えていた会社でした。
最近、テレビなどでも特集番組が組まれてましたからご覧になった方も多いかもしれませんが、たくぎんの破綻は巨額の融資が回収できない不良債権になったことが原因で、山一は価格変動などのリスクがあるにもかかわらず、商品の利回りを顧客に保証する違法行為で、巨額の簿外債務が発生したことが原因でした。
1980年代に始まったとされるいわゆるバブル経済は、1990年代初めから崩壊が始まったと言われているそうですが、両社ともバブルによる不動産価格や株価の上昇をあてにしていたことが、これら不良債権や簿外債務を発生させるきっかけとなったようです。
当時、このニュースを聞いた誰もが、まさか、と思ったでしょうし、たくぎん破綻は弊社のお客様にも大きな影響がありました。そもそも都銀の中で下位行だったたくぎんは営業成績をあげるためにリスクを取らざるをえなかったのかもしれませんが、会社そのものの存立を危うくするほどのリスクだったことをバブルのさなかにいるときは誰も気づかなかったんでしょうね。ただこれは、破綻したたくぎんや山一、その他破綻には至らなかったものの、それなりの被害を受けた企業だけの問題ではなかったと思います。
他社が不動産投資や株式投資で儲けているのを間近で見れば、自分たちも乗り遅れていられないといった焦りのような気持ちは誰もが抱くものだと思います。そうした中でもバブルに踊らされず、バブル崩壊の被害を直接には受けなかった企業のトップがよく言っていたのは、自分が理解できないものには手を出さない、ということでした。
世界的な投資家として有名なアメリカのウォーレン・バフェットさんは長い間、IT関連の会社には投資しないことで有名でしたが、その理由はビジネスの内容がよくわからないということでした(最近は投資を始めたようですが)。最近は不動産価格や株価が上昇しているようですし、ビットコインなどは今年1年間だけでその価値が10倍にもなってるようですが、バフェットさんは価格が上昇しているものにも手を出さないそうですね。私たちもバブルの教訓をぜひ活かしたいものです。
さて、早いもので今年ももう12月ですね。今年もみなさまには大変お世話になりました。ありがとうございました。来年もみなさまにとって良い一年になりますように。