西俊輔の「毎日楽しく」

2018年1月号(Vol.149)

 あけましておめでとうございます。年末年始はゆっくり過ごすことができましたでしょうか? 2018年もみなさまにとって良い一年になりますよう、心からお祈りしております。 

 さて、昨年は働き方改革ということが話題になった一年でした。大手広告代理店の会社で社員が過労やストレスから自殺したことが話題になりましたが、それ以外にも過労死ということはそれまでもよく言われてきたことでした。日本人はとかくよく働くということが言われ、高度経済成長時代には「モーレツ主義」とか「モーレツ社員」という言葉も話題になりましたが、そうした「モーレツ社員」の権化のようなある社長が新聞のインタビュー記事に載せていた言葉が印象的でした。

この社長というのは、「元日以外は364日働く」という猛烈な働き方でみずから創業した日本電産という会社をモーターの分野で世界シェアNo.1の上場企業に成長させ、現在の売上はグループ全体で1兆2千億円、従業員は12万人で、これまで50件以上のM&Aを成功させてきたことでも有名な永守重信さんです。永守さんはM&Aを通じて傘下に収めた欧米企業の社員の働き方をみて、勤務時間の長さで勝負する日本との労働生産性の違いに驚いたそうです。もちろん、労働生産性が高く、短い時間でより大きな成果をあげていたのが欧米企業です。永守さんいわく、「プロの働き方で無駄がない」んだそうで、このままでは日本は欧米企業との闘いに負けるという危機感を募らせ、グループの売上が1兆円を超えたころから、労働生産性をもっと高めて2020年には残業ゼロを目指すと宣言したんだそうです。 

たしかに日本は戦後の奇跡的な成長によってGDPでは世界第2位にまで上り詰めましたが、それは国民が私生活を犠牲にしてそれこそ24時間働くような働き方で成し遂げてきた部分が大きく、高齢化が進み、特に若い人たちを中心に働くことに対する意識が変わってきた現代ではもう通用しなくなっているのかもしれません。また日本人はとかく精神論に走りがちですから(笑)、ITや通信環境の飛躍的な発達を最大限に活用した生産性の向上というところにもあまり意識を向けてこなかったのかもしれません。国が主導するまでもなく、2018年以後はより短い時間でより大きな成果をあげることがビジネスの重要なポイントになりそうですよね。

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