2018年5月号(Vol.153)
ここしばらく、テレビや新聞などで話題のニュースといえば、財務省の事務次官の辞任と国税庁長官の辞任でしたが、財務省でこれだけ地位の高い人が立て続けに辞任したというのはあまり記憶にありません。一人はセクハラの疑い、一人は国会での虚偽答弁や公文書偽造の疑いと、辞任の理由はそれぞれですが、ご本人にとって困難な状況だったことは間違いありません。そこで思い出したのが松下幸之助さんの次の言葉です。
「人はしばしば困難にぶつかる。ときに道に迷い、さまようこともあるだろう。だが、そんな境遇にあっても、この困難は“天からの励まし”と受けとめたい。志を失わず、あきらめず、なすべきことをなしてゆけば、困難は飛躍のチャンスとなる。」
また、稲盛和夫さんにも同じような趣旨の以下の言葉があります。
「自分が置かれた厳しい環境をネガティブにとらえて、卑屈になり、恨みつらみを募らせていくのか。それとも、厳しい環境を、自分を伸ばしてくれる機会として、ポジティブに受け取るのか。いずれの道を取るのかによって、行き着くところが大きく異なってしまうのは、仕事も人生も同じことだ。」
今回の国税庁長官の辞任の理由はともかく、事務次官の辞任は本人によるセクハラが原因ですから、困難な状況にある人を励ますこうした言葉があてはまるか疑問も残りますが、私たちはふだん、仕事をしていて困難な状況にぶつかることはよくあります。決して相手に迷惑をかけようとしているわけではなく、むしろ、よかれと思ってやったことが裏目に出て、結果的に迷惑をかけてしまうこともあれば、不注意や勉強不足、思いやりの足りなさが原因で周りに迷惑をかけてしまい、困難な状況に陥ることもあります。私自身もこうした経験をすることが多くありますが、そんなとき決まって思い出すのが松下さんや稲盛さんのこれらの言葉です。
問題が起きたらそれについて深く反省し、二度とそうした問題が起きないよう対策を立てて実行し、起きてしまったことについてはいつまでもくよくよ悩まない、ということが実践できる人は、きっと大きく成長できるのだろうと思うのですが、みなさんはどう思いますか?