西俊輔の「毎日楽しく」

旭川中心部に見る地方都市の衰退とコロナの関係|2020年5月号(Vo.177)

先月の中旬、弊社の本店である旭川事務所が引っ越しをしました。お花などをお送りいただいた皆様にはここであらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました!

新しい事務所はJR旭川駅から徒歩3~4分の市内中心部にあります。旭川に住んでいるとどこへ移動するにも車を使うため、駐車場が有料になってしまう市内中心部に車を止めて歩くということがこれまではあまりありませんでしたが、今回久しぶりに歩いてみて、歩いている人が極端に少ないのと、空き地が増えたこと、そして閉店しているお店が多いことに驚きました。

これはもちろん、今回の新型コロナウィルスの影響が大いにあります。ただ、旭川駅周辺の人通りが少なくなったのはコロナ騒ぎが起こる前からのことですし、中心部ですでに空き地になっている所が多いことや、西武デパートを含めて以前は2つもあったデパートが無くなってしまったこともコロナとは関係ありません。

旭川駅から北に向かって約1キロ続く歩行者天国は日本初の24時間常設の歩行者天国だそうで、私が子供のころの賑わいはけっこうなものでしたが、今やすっかりさびれてしまいました。地方都市では大都市への人口流出に伴う人口減少によって経済の縮小が続いていますが、今回のコロナはそうした地方都市の衰退に拍車をかけることになってしまうかもしれません。

もちろん、今回の活動自粛は大都市への影響も甚大です。札幌の大通り公園や東京銀座の様子などをテレビで見ていると、これまで見たことがないような人通りの少なさですし、大手航空会社や自動車メーカーまでが多額の融資を要請したというニュースなどを見ると、この先日本の経済はどうなってしまうのか心配せずにはいられません。

なにしろ、感染拡大を防止するためには人同士の接触をできるだけ避けなければなりませんが、それはすなわちビジネスを縮小することになりますから、感染拡大防止とビジネスの両立は完全に二律背反です。どちらかを優先しなければなりません。

そこで参考になるのが、今から約100年前にパンデミック(世界的大流行)を起こしたスペイン風邪だそうです。このとき、国などによる外出制限を徹底したアメリカのある州と、そうした規制に消極的だった州を比べると、規制を徹底した州の方が死亡者の数は3分の1、また感染収束も早く、収束後の雇用の伸びは3倍以上だったそうです。すなわち、短期的には経済に大きなダメージを与えても、なるべく早く感染を収束させた方がいい、というのがスペイン風邪の教訓のようです。

 大企業に比べて在宅勤務や時差出勤などの対策を取りづらい中小企業も、いよいよ本気で対策を考えた方がいいのかもしれません。

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