日本人の美点とコロナ死者数との関係|2020年6月号(Vo.178)
以前よくテレビに出ていたアメリカ人のケント・ギルバートさんという人をみなさん覚えてますか?
流暢な日本語を駆使してコメンテーターやクイズ番組の解答者などとしていろいろな番組に出ていましたが、本業はアメリカ・カリフォルニア州の弁護士さんです。最近はこうした活動がほとんどなくなった一方、ネットや書籍などの出版物で右翼的な発言(もちろん日本の立場で)をすることが多く、そちらのイメージの方が強くなってるかもしれませんね。同時期にやはり日本のテレビによく出ていたケント・デリカットさんという人もいましたが、こちらも最近テレビでほとんどみかけません。
そのケント・ギルバートさんが今年出版した「私が日本に住み続ける15の理由」という本を最近読みました。執筆者が懐かしいお名前だなと思ったのと、「日本人は、世界一の楽園に住んでいることを知っていますか?」という本の帯の文言に惹かれました。
15という数字はまあ、この手の本をまとめる際の手法の一つでこじつけ感が無くはないですが、要約すると、誠実で親切、協調性があって礼儀正しく、清潔好きな日本人が住む日本という国は、長い歴史と独特の文化を持ち、美しい四季があって風光明媚な山や海も都会のすぐ近くにあり、貧富の差が極端に少ないために治安も良く、おまけに世界一おいしい食事が味わえる飲食店がたくさんあるという、まさに楽園のようなところですが、日本人のみなさんはそれに気づいてますか?という内容です。ケントさんは、日本の最大の魅力は日本人と言ってるくらい日本人が大好きらしいですが、ケントさんが指摘してくれた日本人のたくさんの美点は、今回、意外なところで威力を発揮しているかもしれません。
最近、アメリカの外交誌が日本の新型コロナウィスル対策について、「奇妙な成功」という記事を載せて話題になりました。「日本は(感染源となった)中国からの観光客が多く、都市封鎖もソーシャル・ディスタンスの確保も中途半端、感染防止に有効とされているウィルスの検査数も圧倒的に少ないのに、なぜか死者数が奇跡的に少ないが、これは政策が良かったのか、単に幸運だったのかわからない。
ただ、日本人の衛生意識の高さや握手をしない習慣などがその理由になっているのかもしれない」と、褒められているのかけなされているのか、なんとも複雑な記事でした。本当の感染者数がどれほどいるかはともかく、日本人の死者数が少ないのはごまかしようのない事実ですが、ケントさんが指摘した日本人の様々な美点は、ひょっとすると今回のコロナの死者数が少ないことと何か関係があるのかもしれませんね。