西俊輔の「毎日楽しく」

世界についての思い込み

今月はみなさんにちょっとしたクイズを解いてもらいましょう。

 

質問1.世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?

A.約2倍になった B.あまり変わってない C.半分になった

 

質問2.世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?

A.20%  B.50%  C.80%

 

このクイズはスウェーデンの医師で公衆衛生学者のハンス・ロスリングという人が書いた「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」という本に載ってるものなんですが、日本でもベストセラーになった本ですから、本を読んでこのクイズは知ってるという方も多いかもしれません。

答えはどちらも「C」なんですが、みなさんは正解を答えられましたか? ちなみに、世界各国で行った調査によると質問1の平均正解率は7%で、日本は10%だったそうです。一方、質問2の平均正解率は13%で、日本は平均より低い6%だったそうです。この著者の面白いところは、チンパンジーの正解率も記載しているところなんですが、もちろんチンパンジーは文字が読めませんから、餌でつってランダムに答えを選ばせることになるわけですが、この場合、正解の確率は3分の1、すなわち33%になるはずだから、私たちはチンパンジーにも負けてることになるという指摘です。

なお、この調査対象には大学教授や教師、医学生、科学者、大企業の役員、ジャーナリスト、政治家など、学歴が高くて国際問題に興味があると思われる人たちも含まれ、中には、一般の人たちより低い正解率だったノーベル賞受賞者もいたんだそうです。本にはこれ以外のクイズも載ってましたが、全体を通して言えるのは、私たちがいかに世界のことを知らないか、あるいは、強い先入観や思い込みを持ってるかということだそうです。

たとえば、「世界は戦争や暴力、自然災害、人災、腐敗などでどんどん物騒になり、お金持ちとそうでない人の格差も広がる一方、何もしなければ天然資源はまもなく尽きてしまう」といった考え方は現実の世界をあまりにも悪く見過ぎてるそうで、データをちゃんと見れば、世界はだんだんと良くなってることがわかるそうです。ちなみに、私は上記の2問とも不正解で、他の質問と合わせた全体の正解率はやはりチンパンジー以下でした・・・。

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