日々是好日
今月は、「日々是好日」という言葉を取り上げましょう。解説は不要かもしれませんが、中国唐の時代の雲門禅師という禅宗のお坊さんの言葉だそうで、「にちにちこれこうじつ」あるいは「ひびこれこうじつ」と読み、直接の意味は、毎日平和で楽しい日が続く、ということです。ただもちろん、これでは単なる感想や状況を説明しただけの言葉になってしまいますので、毎日を大切に生きる心構えを説いたもの、と解釈するのが正しいそうです。
今日も良い1日でありますように、とは誰もが思うことだと思いますが、実際には晴れた日ばかりでなく雨の日や風の日があるのと同じで、良いことばかりが続くことはなかなかありません。もちろん、自分の力で問題が起きないよう完全に抑え込むことができるかといえば、そもそもそんなことは不可能ですし、悩みがまったく無い人生を送ることもたぶん無理です。
経営の神様と言われた松下幸之助さんの名言に、「雨が降っても自分のせい」という言葉があります。他人のせいにしたり環境のせいにしていても物事が好転するわけではないから、あきらかに自分に非が無いことでも自分に原因があったと考えて物事にあたる、という、経営のみならず人生訓としてもよく使われる言葉ですが、たとえこうした心構えを持つことができたとしても、雨が降るのを止めることはできません(ただ、こうした考え方ができる人なら、少なくとも人間関係の問題は相当減ると思いますけど)。
でも、どんなに悩ましいことがあっても、あるいは悪いことがあっても、その日は私たちの限られた人生の中のかけがえのない1日です。良いことがあった日だけをつないだ人生はたぶんかなり短いものになってしまいますし、そもそも人間はいつなんどき何があるかわかりませんから、今日元気な人でも明日には亡くなってしまうことだってあるかもしれないと考えると、悪い日が人生最後の日になってしまうとこれはかなり後悔することになってしまいます・・・。
悪いことがあった中でも良かったと思えることを見つけたり、あるいは悪いことをそのまま受け入れて、今日も良い1日だったと思うことができれば、人生は今よりもっと豊かになるのかもしれません。日々是好日、毎日を大切に過ごしていきましょうね。