西俊輔の「毎日楽しく」

AIによって無くなる仕事とは

先月に続き、今月もチャットGPTの話題を取り上げましょう。数年前から、主にコンピュータの進化などによって、今後無くなる仕事ランキングなるものが雑誌などで特集されるようになりました。無くなる(コンピュータなどに代替される)仕事としては、郵便配達や電話交換、清掃、一般事務、バスやタクシーのドライバーといった職種が上位にあがってましたが、それらに交じって経理や税理士なんて仕事も割りと上位に挙げられていました・・・。一方で、芸術系を含むクリエイティブな仕事やコンサルタント、医師や弁護士といった職種は比較的代替されにくいとも書かれてましたが、ただ、最近話題のチャットGPTの登場によって、こうしたランキングにも変動があるかもしれません。

アメリカのカリフォルニア大学による実験で、約200人の患者さんからの質問に医師とチャットGPTにそれぞれ答えさせ、その答えを専門家に評価させたところ、約8割もの専門家がチャットGPTの回答のほうが質が高くて正確で、おまけに患者に対する共感力でも勝っていたという結果を発表したそうです。また、チャットGPTのような生成AIによって、自社のコンサルタントが今後不要になっていくことを心配する大手コンサルティング会社もあるそうで、こうしたAI技術の登場が、つい最近までの常識を覆していく可能性が出てきました。

これまで単純作業は機械(コンピュータ)にやってもらい、人間はより知的でクリエイティブな仕事をしていくべき、なんてことが言われてましたが、専門知識を含むコンサルティングなどの知的労働もAIに取って代わられるとすれば、人間に残される仕事は意外にアナログな肉体労働になるかもしれません。たとえば、私たち会計事務所業界でいうと、お客様からお預かりした領収書や請求書といった実体のあるモノを整理して会計ソフトに入力する作業などもそうかもしれません。会計処理もコンピュータやAIがやってくれるということは以前から言われてることですけど、そのために領収書や請求書を人の手でスマホの写真に撮るとか、入力の元資料をスキャンしてコンピュータに読み込ませるとか、そういった下準備が結局は面倒なので誰かにまかせたいという要望が実はけっこう多いですからね。

会計事務所は単純作業をコンピュータにまかせて、財務や税務コンサルティングの方向に行くべきだ、なんてことが言われることもありますが、ヘタをするとそれはまったく逆で、単純作業は人間がやり、コンサルティングなどの知的労働はAIにやってもらうなんて展開になっていくかもしれませんよ。いや、ホントに。

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