《サランラップはいきなり誕生した商品ではありません。
20世紀初頭世界初の合成樹脂ベークライトが誕生しますが、以来アメリカでは合成樹脂の研究を熱心に進めていました。その研究の成果が(ポリ塩化ビニリデン)という形で実を結び、この合成樹脂をアメリカは戦争に活用しました。
この合成樹脂は、太平洋戦線で兵士を悩ませた蚊から身を守るための蚊帳、ジャングルを行進する兵士を水虫から守る靴の中敷き、銃や弾丸を湿気から守るための包装フィルムなどが、主な用途だったそうです。
1945年、戦争が終わり、フィルムに様々な改良がなされましたが、ナチュラルチーズを包装する以外に用途が見つかりませんでした。
1940年代後半のある日、フィルム製造メーカーの職長を務めていたラドウィック、アイアンズの二人は、妻を伴って近所の人々とピクニックに出かけました。
ラドウィックの奥さんは、たまたま夫が会社で作っていたフィルムにレタスを包んで持っていきました。すると「このラップとてもきれい。どこで手に入れたの?」「私も欲しい。どこで売っているの?」と大変な評判になってしまいました。
そこでラドウィック、アイアンズの二人は驚き、早速翌日上司に報告し、クリング・ラップ・カンパニーを設立して開発に着手し、ダウケミカル社から取り寄せた樹脂のロールを紙管に巻き付けて箱詰めし、サランラップ第1号が完成したという訳です。
完成すると近郊の都市でも試験的に販売され、結果は上々でした。名前もラドウィック、アイアンズの二人の妻サラ(Sarah)とアン(Ann)にちなんで「サランラップ」と決定されました。》