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アマテラスの暗号

2024年05月09日

 「アマテラスの暗号」は、アメリカの大手金融機関に勤めていたこともある伊勢谷 武の小説です。

 主人公のケンシ(賢司)の母はアメリカ人で、父は日本で長い歴史を持つ神社の宮司です。ケンシは母と一緒にニューヨークに住んでいますが、四十数年ぶりに父から連絡があって、会う約束をします。ところがその日、父は何者かに銃撃され殺害されてしまいます。父の死と父が残した文字とも記号とも言えないメモの謎を解くために、ケンシは友人とともに日本にやって来ます。父のいた神社を訪ねることから始めて、父の伝えたかったことを調べるうちに、それが図らずも日本の神話や神社の歴史をたどる旅となっていきます。

 古代の日本には中国や朝鮮半島からたくさんの渡来人が来ているので、日本はその人達の影響を受けていて当然ですが、今、ニュースでその国の名前を聞かない日はない「かの国」(中国や朝鮮半島の国ではない)の祖先が古代の日本に移り住み、日本の神話、神社、祭礼に深くかかわるというか、その人々がいなければ、今の神社や祭礼などはまるで違ったものになっていただろう、とそんなことがわかってきます。

 ここまでくると都市伝説というか、トンデモ本のような気もしますが、この本は実際に残っている文献、遺跡からの出土品、神事、地名、神社への取材等々を基にして書かれているということであり、これでもかと言わんばかりに証拠を並べられると、ひょっとしてそうかも知れない、というより否定するのは難しいかもという感じになります。

 小説としては、登場人物をもうすこし少なくして、シンプルなストーリーにすればよかったという気がしますが、歴史に興味がある方でなくても十分楽しめる小説になっていると思います。

 ふたば税理士法人T.M.

 

 

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