映画『首』
2023年12月04日
先月の祝日11月23日(勤労感謝の日)、公開初日のビートたけし監督・主演の新作映画『首』を観てきました。
映画館は旭川シネプレックス、昼2時からの回で、観客の入りは20~30人ぐらい?といったところ。
この映画は時代劇で、織田信長・明智光秀・羽柴秀吉・徳川家康らが登場する本能寺の変の前後のお話です。
ちょうど今年はNHKの大河ドラマで徳川家康の話『どうする家康』をやっているので、その辺りは同じ題材を扱っているのですが。
その世界は全くと言っていいほど違っています。
タイトルになっている「首」、それも泥だらけの生首がいっぱい出てきます。
主だったキャスト、織田信長、明智光秀、その他大勢が最後には生首になります。
織田信長を演じた加瀬亮。この人の熱演は凄いです。
こんなに狂った信長はなかなかお目にかかれないと思います。
語尾が「だぎゃー」とか「みゃー」とかになる尾張弁でまくし立て、家来の武将たちを殴る蹴るは日常茶飯事、粗暴の限りを尽くします。
家来の武将の一人、荒木村重(演じるのは遠藤憲一)の口を開けさせて、刀に刺した饅頭をねじ込み、口の中で刀を回して口内を血まみれにさせたりします。
(実際にそんなことされたらどれ程痛いことか。想像するだけで身の毛がよだちます。)
その荒木村重は、同じ信長の家来・明智光秀(演じるのは西島秀俊)と、愛人関係にあります(いわゆる男色です)。
実は織田信長も、明智光秀と男色の間柄で、村重との三角関係になっています。
西島秀俊といえば、TVドラマ『きのう何食べた?』でケンジ(内野聖陽)と同棲しているシロさん役で有名ですから、この手のキャラは得意かも?なんて思ってしまいますが。
(しかし遠藤憲一と西島秀俊が抱き合って愛し合うのを見るのは結構キツいかもしれません。)
西島演じる明智光秀は、ひたすら真面目な役柄です。
この光秀がどのような経緯で信長に反逆するに至ったか?
信長と光秀がどんなふうに生首となったか?
という辺りが見どころとなるでしょうか。
あと、主要キャストとしては、徳川家康役に小林薫、千利休役に岸部一徳、元忍者の芸人役に木村祐一(NHK「チコちゃん」の声で有名)、その兄貴分の忍者の首領役に寺島進、侍になった元農民役に中村獅童といった面々がいます。
羽柴秀吉の弟・秀長役を大森南朋が演じていて、この人はNHK『どうする家康』にも出演しています(キャラの設定は全く違いますが)。
そして主演のビートたけしが演じるのは羽柴秀吉。
史実の秀吉は本能寺の変の時、45歳ですから、ちょっと歳をとり過ぎていますが。
たけしが演じる秀吉は、良くも悪くも、現在TVで見られるビートたけしのまんまです。
これはどうなのか。
まあ、何も期待せずに見るのが良いのかもしれません。
最近のTVに出ているビートたけししか知らない今の若い人は、なぜ彼がこんなに尊重されるのか分からないのではないかと思います。
正直、しゃべってる話も聞き取りづらいし、大して面白くもないし。
でも80年代の彼を知っている人ならば、彼がいかに凄かったか、ということに同意してくれるでしょう。
今回の映画は、全体としては、たしかに面白いです。
まあ、ひどい話だとは思いますが。
(渡)