木挽町のあだ討ち
2023年06月01日
月に3、4冊の本(主に小説)を読みます。最近読んだ中で面白かったのは「木挽町のあだ討ち」という時代小説です。
ある雪の降る夜に芝居小屋のそばで、美少年菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高く掲げた快挙は多くの人々から称賛された。
二年後、菊之助の縁者の若侍が仇討ちの顛末を知るべく芝居小屋を訪れる。
仇討ちを目撃した女形、殺陣師、小道具係、戯作者などから話しを聴いていくが、それぞれに様々な事情を抱えて芝居小屋に流れ着いた人々であり、ただ、一様に「疑う隙なんぞありはしない。あれは立派な仇討ちでしたよ。」と口をそろえる。
しかし、語り草となった大事件には真相があり、実は、彼らはただの目撃者ではなかった…。という感じで物語は進みます(ネタバレは、なしにしておきます)。
この小説の作者は、永井紗也子という女性で、江戸の名も無き市井の人々の心の機微がよく描けています。
時代小説を書く女性の作家は以外に多く(と言っては失礼かもしれませんが)、優れた作品がたくさんあります。
澤田瞳子、西條奈加、木内昇(のぼり)、あさのあつこ等々もほんとうによい作品を書いています。
今、女性作家の時代小説がマイブームになっています。
T.M