海に眠るダイヤモンド
2024年11月06日
野球とニュースを見る以外でテレビの電源をほとんど入れない私ですが、十数年ぶりに1話から見ているドラマです。主人公たちが働いている端島にある「鷹羽(たかば)炭鉱」のモデルは三菱高島炭鉱端島坑という実在した炭鉱です。「たかしま」「はしま」から連想して「たかば」という名前にしたのだと思います。炭鉱の名前よりも「軍艦島」という名称で有名な場所でもあります。
1話冒頭で、CGで炭鉱が稼働する様が再現されていてとても感激しました。特に立坑が動いているところは迫力がありました。立坑は炭鉱を掘り出す現場から石炭を揚げたり鉱員を送り込んだりする設備で、井戸のような仕組みで動きます。
立坑は戦後復興政策が一段落し石炭政策が合理化に舵を切ったことで活躍することになった技術です。ドラマの中で「傾斜生産方式が一段落した、これから炭鉱はどうなるのか」というセリフがありましたが、戦後集中的に資本が投入されてきた石炭産業への注力をやめ、過剰人員の削減・非能率な炭鉱の廃止・最新設備を備えた大規模炭鉱への集約などを指して石炭政策の合理化といいます。つまりは人力で掘るのはやめて機械に頼りましょう、ということでした。
この政策を受けて採炭技術の機械化が進み、多くの立坑や有用な掘削機械が誕生しました。そして技術が集約された炭鉱では以前より少ない人員でより多くの出炭量を稼いでいくようになります。
人件費を抑えて生産性を上げる、という考え方はいつの時代もどんな業種でも共通の考え方ということですね。
このことがドラマの主人公たちにどのように影響していくのかが今のところ個人的な見どころです。
三菱が経営していた炭鉱は北海道にも3つあり、三菱芦別・三菱美唄・三菱大夕張炭鉱がありました。その中で三菱美唄炭鉱の立坑櫓は現存しており、8月に開通した道道美唄富良野線を美唄市内から富良野方面に走ると行くことができる「炭鉱メモリアル森林公園」内に保存されています。オレンジ色の立坑は遠目からも目立つので、根雪になる前にぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。 ふたば税理士法人 ひらさわ