行旅死亡人の謎を追う本が面白い
2022年12月28日
先ごろ、「ある行旅死亡人の物語」というタイトルの単行本が出版された。この話題の書を私も読んでみた。
行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは、身元が判明しない死者を表す法律用語である。
今から2年前の2020年、兵庫県尼崎市の家賃3万円の古アパートで現金3,000万円以上を遺して亡くなった推定75歳の女性。その右手の指はすべて無くなっており、死亡時の身長は133センチだったという──。
アパートの自室とみられる場所で亡くなっていたにも関わらず、身元不明と判断されたその理由とは。
共同通信の記者が、警察やプロの探偵すらも辿り着けなかった女性出自の謎に迫る。
本書の読みどころは、昭和最大の未解決事件や、とある独裁国家との関わりも探りながら1年以上に及ぶ取材記録を活き活きと描写している点にある。年末年始の空いた時間に読むことをおすすめしたい。 H