所員ブログ

諸富徹『税の日本史』(祥伝社新書722)

2026年01月14日

今読み進めている『税の日本史』は、古代から近代までの各時代における政治体制・国際情勢・経済状況と税制の関係がとてもわかりやすく詳述されており、大変充実した内容の新書です。各時代の直接税・間接税の割合、軍予算と税制の関係、所得税の導入経緯などにも触れられていて、税制史を学ぶにも適した内容となっています。

諸富徹『税の日本史』(祥伝社新書722)※商品リンク

巻末には歴史学者の磯田道史先生との対談が収録されており、その中で特に興味深かったのは、日本人の税に対する考え方感じ方は近世あたりからあまりアップデートされていないのでは、という磯田先生のご指摘でした。

約260年続いた江戸時代は、鎖国政策を採ったために税収の多くを年貢に依存する体制でした。そのため幕府は、農村に「村請制」「五人組」という制度を導入し、年貢を確実に徴収する強固な仕組みを作ります。この制度は年貢を納められなくなった人間を共同体から半強制的に排除したり、人権をも軽んじる扱いを容認する仕組みでした。この仕組みが260年続くにいたり、「年貢=自分の生活を犠牲にしてでも為政者に取られる(納める)もの」というネガティブな意識が人々に根付いていったという指摘です。

令和の現在も自分が頑張って稼いだお金は手元にできるだけ残したい、税金はあまり納めたくないと多くの人が考えていると思います。その思いは江戸時代に醸成され現在まで変わらない日本人の税に対する考え方だ、というお話はとても興味深いですよね。

これだけ経済が発展して自己責任で生活ができるようになってもなお、為政者と税が結びついた時に良い感情を持てないことが多いことを考えると、農村に暮らした人々の悔恨が私たちのDNAに刻まれているのだろうと想像してしまいます。

他にも、税制の不公平感が日本を戦争に進ませたなど、政治・経済と税制の密接な関係を「日本の歴史」の中で読み解く面白い内容となっていますので、興味のある方は是非お読みいただければと思います。

ふたば税理士法人 平澤

一覧に戻る