グレーゾーンにあらたな参加者が
2025年12月08日
年末調整の時期になりました。会社の経理に関わっている人たちには言うまでもありませんが、これは毎月の給与から天引きされている源泉税(所得税)の合計額とその年のその人の所得税(の確定額)との差額を調整して不足額を納めたり過払い額を戻す手続きで、自社でやる分にはなんの問題もありませんが、外部の第三者に依頼する場合には原則として税理士や税理士法人に依頼しないと、税理士法違反になる可能性が高い業務です。ただ、年末調整と密接に関わる給与計算は社会保険労務士の方々が外注で行ってる業務でもあり、このあたりの業務の棲み分けについては日本税理士会連合会と全国社会保険労務士会連合会との間で、年末調整のうち税務判断を必要とする部分は税理士しか行うことができないということが確認されています。とはいえ、そもそも年末調整自体が所得税を確定させる業務ですから、税務判断を伴わない部分というのはほとんど無いため、一般的には社労士さんは引き受けず、税理士が行っていると思います。
ところが今朝の新聞に、AI(人工知能)を活用して企業の年末調整業務を代行するサービスを提供する会社に関する記事が出てました。上記のように、年末調整はただでさえ税理士と社労士の独占業務をめぐるセンシティブな問題をはらむ分野であるにもかかわらず、税理士でも社労士でもない一般の会社が参入するとなると、これはまた一悶着あるかもしれません。もちろん、この会社に税理士や社労士が所属していてそうした問題に引っかからないようにしているのかもしれませんけど、記事ではそこまでのことは書いてませんでしたのでわかりません。


