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フェラーリは芸術品?

2023年03月28日

税理士業界の新聞記事で、自動車のフェラーリが減価償却資産になるかどうか東京地裁で争われた事例が載ってました。

1点100万円以上する絵画や彫刻などの美術品や工芸品は通常、時の経過によって価値が減価しない、減価償却できない資産として税務上は扱われていますので、それを所有する会社などでは減価償却費として経費処理できない一方、減価償却できない分、それを売却する際には帳簿価格が減ってませんからその分売却益は小さくなってそれに係わる税額は少なくなるということになります。

記事を読む限り、フェラーリを所有していた個人がそれを売却した際の売却益の計算で、もしフェラーリが普通の車と同じく減価償却資産なら売却した際の売却益は大きくなるし(税額は増える)、美術品・工芸品と同じく減価償却資産でないなら売却益は小さくなる(税額は減る)、という点が争点だったようで、東京地裁の結論は、フェラーリは普通の車と同じく減価償却資産である(すなわち国税側の勝訴)というものでした。

とはいえ、実は過去に、バイオリンの名器として有名なストラディ・バリウスは減価償却資産ではない(≒工芸品である)、という扱いがされた例があり、生産台数が少なく工芸品とも言われるフェラーリだってストラディ・バリウスと一緒じゃないか、という納税者側の主張にも一理あります。

今回問題になったフェラーリも実は限定車で、5,400万円の購入価格に対して売却価格は1億3,500万円(売却時点で18年落ちの車!)と、コレクターの収集対象になる車だったようですから、車好きの裁判官だったら結論はひっくり返ってたかもしれません。

はたして納税者側は控訴するのかな?

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