ふたば便り

中古資産の減価償却

 事業を運営する中で、使用する車両や機械、設備等を新品でなく中古で購入することがあります。この中古資産は新品に比べて初期コストを抑えられるだけでなく、減価償却の面からは節税につながる場合もあります。今回は、中古資産の減価償却の計算方法について見ていきましょう。

【中古資産の減価償却の計算方法】

 一定の金額以上の事業用資産については一度に経費処理することはできず、その購入費用をいったん固定資産として資産計上した上で、その資産が使える期間(耐用年数)にわたって、年ごとに分割して経費(減価償却費)として処理する必要があります。税務上、耐用年数は固定資産の種類(建物、機械装置、車両運搬具等)ごとに細かく決められており(法定耐用年数)、新品の固定資産はそれぞれの耐用年数に対応した償却率によって減価償却費を計算します。
 一方、中古の固定資産も新品と同じ計算式で減価償却費を計算しますが、中古資産は取得時の状況によって耐用年数が変わるため、例えば同じ100万円の中古車でも、使用開始から1年目のものと5年目のものとでは、劣化・消耗の具合が異なるので、その後の使用可能期間(耐用年数)が変わることになります。実務上、中古資産の耐用年数については、新品と同じ耐用年数を使うこともできますが、通常は簡便法により耐用年数を算定することが多く、その計算式は次のとおりです。

(法定耐用年数-経過年数)※1+(経過年数×20%)

※1 法定耐用年数の全部を経過した場合は0。なお、上記の計算の結果、1年未満の端数が生じた場合は切捨て、
2年に満たない年数になった場合は「2年」とします。詳しくはお問合せください(以下、同様)。

 

【新品と中古資産の減価償却費の比較】

 通常、簡便法で計算した耐用年数は法定耐用年数より短くなります。耐用年数が短ければ短いほど、経費にできる減価償却費も大きくなります。
 例えば会社の業務で使う普通乗用車400万円を、新品で購入する場合と、4年落ちの中古車で購入する場合とで、減価償却費は以下のようになります(いずれも期首に使用開始、減価償却は定率法で計算)。


【新品の場合】法定耐用年数6年→償却率0.333
 400万円×0.333=1,332,000円…当期で減価償却費にできる金額:1,332,000円
【中古の場合】法定耐用年数6年→4年経過しているので、簡便法により
(6年-4年)+(4年×20%)=2.8年→2年(端数切捨て)
簡便法による耐用年数2年→償却率1.000
400万円×1.000=400万円→3,999,999円(1円は残す)
…当期で減価償却費にできる金額:3,999,999円
 

 このように、中古で買った方が経費は大きくなり、節税につながる場合があります。なお、中古資産の減価償却は資産の種類や取得時の状況等によって簡便法による計算ができず、期待した減価償却費の計上ができない場合もありますので、ご注意ください。

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