ふたば便り

令和7年度の税制改正大綱

 昨年12月20日に政府与党は令和7年度税制改正大綱を発表しました。正式に決定するのは3月末の国会通過後になる予定ですが、今回はその一部についてみていきましょう(詳細はお問合せください)。

<個人所得課税>

① 「年収103万円の壁」の見直しと特定親族特別控除(仮称)の創設
 令和7年分以後の所得税について、基礎控除の上限を現在の48万円から58万円に、給与所得控除の下限を55万円から65万円に引き上げることによって、「年収103万円の壁」と言われた所得税のかからない給与収入の限度額が123万円に引き上げられます。
 また、新たに「特定親族特別控除」(仮称)が創設され、19歳以上23歳未満の扶養親族の年間の給与収入が103万円を超えても、150万円までなら、所得税について63万円の特定親族特別控除が受けられ、更に188万円に達するまで、段階的に控除が受けられるようになります。
② 子育て世帯の生命保険料控除の上限額の拡充
 23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8年分の所得税の一般生命保険料控除の限度額は、現行の4万円から6万円となります。

<資産課税>

③ 事業承継税制の後継者の役員就任要件の見直し
 事業承継時の株式に係る贈与税が納税猶予される法人版事業承継税制において、後継者の役員就任期間の要件について現在は「株式贈与日まで引き続き3年以上」必要でしたが、令和7年1月1日以後の株式贈与については、「贈与の直前において」役員であれば足りる、と変更されます。

<法人課税>

④ 税率の特例・優遇税制の見直しと期限延長
 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例(税率15%)や、中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制(特別償却又は税額控除)については、要件見直しの上で、適用期限が2年延長されます(令和9年3月末までに開始する各事業年度又は令和9年3月末までの取得等について適用)。
⑤ 防衛特別法人税(仮称)の創設
 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対し、税率4%の新たな付加税として防衛特別法人税(仮称)が創設されます(法人税額500万円までは課税なし)。
税制改正大綱にはこれら以外にも多くの項目の記載があり、年明け早々の国会審議の行方に注目です。

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