ふたば便り

非上場会社の株式評価のポイント②

2015年9月号Vol.157 前回(2015年8月号)は、上場していない会社の株式を評価する3つの方法をご紹介しました。その内容は、1)会社の純資産を株価総額とみなして株価を算定する「純資産価額方式」、2)国税庁が定期的に発表する「業種別の株価」を用いて評価する「類似業種比準方式」、3)受け取っている配当金をベースに計算する「配当還元方式」の3つです。今回は、これら3つのうちどれを選ぶことになるのか、その基準について見てみましょう。

■ 選択基準その1 会社の規模

会社の規模は、総資産、売上、従業員数をもとに決まります。大会社、中会社、小会社の3区分で、中会社はさらに3つの区分に分けますので全部で5区分です。たとえば卸売業以外で売上が20億円以上であれば大会社となり、この場合は原則として100パーセント類似業種比準方式を採ります。類似業種比準方式は上場企業の株価を参考にする方法なので、大会社の実態にもっとも近いからです。中会社であっても上場企業に近い規模の会社は、この方式を部分的に取り入れることになっています。 中会社は当然ながら大会社よりは規模が小さいので、類似業種比準方式を100パーセント採用してしまうと実態に合わなくなります。そこで純資産価額方式と併用して株価を算出することになります。中会社は規模によってさらに3つに細分化されており、たとえばその中でももっとも規模が小さい中会社の場合は、類似業種比準方式と純資産価額方式を6:4の割合で採用します。 小会社は原則として100パーセント純資産価額方式ですが、類似業種比準方式と併用したほうが株価が安くなるのであれば、そちらを採用することもできます。この際の比率は類似業種比準方式:純資産価額方式を5:5とします。

■ 選択基準その2 会社の特殊事情

会社に特別な事情がある場合など、会社の規模だけでは採用方式を決められないことがあります。たとえば会社の規模が中会社だったとしても、まだ開業して間もなかったとしたらどうでしょう。開業当初というのはまだ実績データが乏しいものです。にもかかわらず上場企業を参考にしている類似業種比準方式を採用するのは問題があります。このような場合、たとえ中会社であっても類似業種比準方式と純資産価額方式の併用ではなく、100パーセント純資産価額方式で計算する必要があります。

■ 選択基準その3 誰が株式を受け取るか

3つある評価方式のうち、ここまで配当還元方式が登場していません。この方式は他のものに比べ株価が格段に安く計算されます。株価が安いと、株式を誰かに譲る場合に購入者は購入価格が安くて済みますし、タダでもらう場合も、もらった人の相続税や贈与税が少なくなります。つまり、容易にこの配当還元方式が採用できてしまうと相続税や贈与税の課税逃れができてしまうことにもなるため、この配当還元方式の採用条件は厳密に決められています。この方式が採用できるのは、株式を受け取る人の持ち株比率が少なく、受け取る人が会社経営にほとんど携わっていないケースなどです。
以上、2回にわたって非上場会社の株式評価方法についての概要をお伝えしました。事業承継などをお考えの方でさらに詳しい内容をお知りになりたい方はぜひ弊社にお問い合わせください。

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