ふたば便り

「中小企業等経営強化法」が施行 固定資産税の軽減、金融支援等の特例措置を規定

平成28年7月1日に中小企業や小規模事業者、中堅企業の経営強化を図るため、「中小企業等経営強化法」が施行されました。今回はこの法律の概要とメリットをご紹介しましょう。

中小企業等経営強化法の概要

以下のような流れで中小企業等(資本金1億円以下の会社、個人事業主など)への支援が行われます。

1.事業分野の特性に応じた経営力向上のための指針の策定

事業所管大臣よりそれぞれの事業者の特性に合わせた経営力向上のための取組(顧客データの分析、ITの活用、財務管理の高度化、人材育成等)について示した「事業分野別指針」が策定されます。 (※)具体的には、製造、卸・小売、外食・中食、宿泊、医療、介護、保育、貨物自動車運送業船舶、自動車整備等を公表。

2.経営力向上のための取組の支援

中小企業・小規模事業者等は、人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資等、事業者の経営力を向上させるための取組内容などを記載した事業計画(「経営力向上計画」)を策定するにあたって、認定経営革新等支援機関による支援を受けられます。

■経営力向上計画作成のステップ

①自社の強みを把握する

②自社の強みがどのように利益につながるのかをまとめる

③経営方針を明確にし、管理指標を特定する

④計画としてまとめる

⑤経営の実践

経営方針、管理指標を社内に徹底し実施。管理指標をもとに定期的にチェックし改善することが重要です。

メリット

認定を受けたのち固定資産税の軽減措置や、その他の金融支援を受けることができます。

■固定資産税の軽減措置:3年間にわたり1/2に軽減

以下の要件を満たす設備で、経営力向上計画に基づき取得されたものが対象となります。

1. 販売開始から10年以内のもの

2. 旧モデル比で生産性※が年平均1%以上向上するもの 。※単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等

3. 160万円以上の機械及び装置であること (新品)

 など

■金融支援

・中小企業向け:信用保証協会による信用保証の枠の拡大 など

・中堅企業向け:独立行政法人中小企業基盤整備機構の債務保証 など

この制度にはいまのところ期限はありません。ただし、固定資産税の軽減措置は時限措置のため、法律の施行日から平成31年3月31日までに取得した設備のみが対象となっています。 また、経営力向上計画に基づいて取り組んだ結果、目標が未達だったことをもって認定を取り消されることはありませんが、経営力向上計画に従って事業が行われていない場合は、認定を取り消されることがあります。このほかにもいくつかの要件がありますが、積極的に取り組めば経営強化と節税、資金計画に効果的な制度です。

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