「早期経営改善計画」策定支援 ~会社の経営力強化のために~
2017年 10月号(Vol.182)
中小企業が、資金繰りや採算管理等に係る経営改善に早めに着手できるよう、認定支援機関(税理士等)の助言を受けながら自社の「早期経営改善計画」を作成できる制度が、今年5月から始まっています。この早期経営改善計画を作成し、その進捗を管理することには次のようなメリットがあります。
◯自社の経営を見直し、経営課題の発見や分析ができる
◯資金繰りの把握が容易になる
◯事業の将来像を金融機関に伝えることができる
例えば、資金繰りや売上げ減少等の不安がある、経営改善の方法が分からないといった悩みを持つ経営者の方々には有意義な制度です。費用の2/3(上限20万円)を国が支援してくれることも有利なポイントの一つです。
「早期経営改善計画書」作成の手順
1.自社の現状を分析する
(1) 過去の業績の推移や「ローカルベンチマーク」等で自社の現状を確認します。
(2) 売上構成比別の販売先・販売ルート等と構成比別(金額別)の主な経費・仕入先を「ビジネスモデル俯瞰図」に記入し、自社の概況を確認します。
(3) 現状の問題点を洗い出し、経営課題と改善策を検討します。
2.財務目標を立てる
1.の現状分析を基に、前々期から当期まで3期分の「資金実績・計画表」と短期(1年ないし3年)の「損益計画」を作成します。
3.アクションプランを作成する
主な経営課題と、それに対する具体的な行動計画を書き込んだ「アクションプラン」を作成します。
アクションプランの例:
- 「見積り→受注→納品→請求→回収」のサイクルを早めるため、全社で受注進捗表を共有し、確認できる体制にする。
- 商品別の利益率と在庫を管理するため、共通費等も考慮した部門別損益計算を導入する。
制度を活用して金融機関との関係強化を
本制度を利用する企業は、メインの金融機関に事前相談した上で、認定支援機関と共に作成した「早期経営改善計画書」をその金融機関に提出し、その1年後に行うアフターフォロー(モニタリング)でアクションプランの進捗状況を金融機関に報告することになりますので、金融機関との「対話」を深め、関係強化を図る絶好の機会が得られます。本制度は無借金経営の企業も対象となっており、金融機関との関係を築く契機ともなりますので、この機会に制度を活用してみてはいかがでしょうか。