株主総会の開催と決議事項、役員改選と変更登記
2018年4 月号(Vol.188)
中小企業では、株主が社長のみであったり、取締役やその他の株主も社長の家族、親族のみであったりという場合が珍しくなく、そのため、株主総会を開催していないというケースがよくあります。しかし株主総会には、決算の承認、役員の選任(改選)、定款変更等の会社法で定められた重要事項を決議する役割があり、中小企業であっても株式会社である以上、必ず株主総会を開催して、議事録を作成しておく必要があります。
【株主総会の開催と決議事項】
株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、すべての株式会社において必ず設置されます。
株主総会には、決算期ごとに開催される年1回の定時株主総会と、必要があれば随時開催される臨時株主総会があります。
定時株主総会は通常、事業年度の末日から3か月以内(法人税申告書の提出期限を延長していない法人の場合は2か月以内)に開催されます。この定時株主総会で、直前に終了した事業年度の決算書が承認されると決算が確定し、それに基づく法人税の申告が可能になります。
この決算の承認の他、剰余金の配当や役員(取締役、監査役、会計参与)の選任(改選)、役員報酬の決定(改定)、定款の変更等がある場合にも、株主総会の決議が必要です。
株主総会の決議内容を記載した議事録については、法律上の作成期限はありませんが、商業登記申請の添付書類として用いられる場合もあり、可能な限り速やかに作成するのが望ましいと言えます。また、税務調査の際にも株主総会の議事録を確認されることがありますので、議事録は必ず作成し、保管しておくようにしましょう。
【役員改選と変更登記】
平成18年5月施行の会社法により、非公開会社(定款により株式譲渡が制限されている会社)の役員の任期は、最長で選任後10年まで伸長することが可能になりました。しかし役員の任期を伸長した結果、任期満了に伴う改選とその登記申請を忘れてしまうリスクが高まっています。
役員の任期満了に伴う改選の場合、株主総会で決議されてから2週間以内に変更登記を申請する必要があり、もし変更登記を怠った場合、100万円以下の過料の制裁が課されます。法務局から裁判所へ登記懈怠(けたい)が通知され、裁判所から会社の代表者個人に対して、会社法違反による過料決定の通知が届くことになってしまうかもしれません。
こうした事態を避けるため、定款や商業登記簿謄本により役員の任期満了時期を確認し、株主総会での改選決議を失念しないようにしましょう。