ふたば便り

消費税の税率10%への引上げと軽減税率制度

2019年4月号(Vol.200

 今年10月から行われる予定の消費税率10%への引上げと同時に、税率を8%のままとする消費税の軽減税率制度も始まる予定です。この軽減税率制度は対象商品を販売しない一般企業や免税事業者も決して無関係ではありませんので、今月はこの軽減税率制度の概要についてみていきましょう。

 

●軽減税率の対象品目

 今年10月1日から始まる、軽減税率(8%)の対象となる品目は、次の2つです。

  ◎ 飲食料品酒類外食等を除く)

  ◎ 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

※飲食料品の内、軽減税率の適用対象外となる「外食等」とは、以下のものをいいます。

①「外食」・・・・・飲食設備(テーブル、椅子、カウンター等の飲食に用いられる設備)のある場所において、顧客に飲食させるサービス

②「ケータリング・出張料理等」・・・・・顧客が指定した場所で行う加熱・調理・給仕等によって、顧客に飲食させるサービス

※ただし、有料老人ホームでの飲食料品の提供や学校給食等は、生活を営む場所において他の形態で食事をとることが困難と考えられることから、軽減税率の適用対象となります(他にも適用対象の例外があります)。
 
 

●区分経理の必要性

 今年10月以降には、飲食料品や新聞等の軽減税率対象品目を販売する事業者(課税事業者)だけでなく、購入する事業者側も、現行の請求書・領収証等の記載事項に加えて、税率(10%又は8%)ごとの区分を追加した請求書等(区分記載請求書等)を仕入先から発行してもらう必要があります。売上に係る消費税から仕入に係る消費税を差し引いて納税額を計算するためには、区分経理に対応した帳簿と区分記載請求書等の保存が必要とされるため、軽減税率対象品目を販売する事業者は、消費税を納める必要のない免税事業者も含めて、区分記載請求書等の発行を求められることになります。そうした軽減税率への対応が必要な中小企業・小規模事業者等が、レジや受発注システムの改修や入替を行う際に、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」があります(補助率・対象等が以前より拡充されています。詳しくはご相談ください)。

 

●中小事業者の売上税額・仕入税額の計算の特例

 売上や仕入を税率ごとに区分することが困難な中小事業者(前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者)は、売上や仕入の一定割合を、軽減税率対象品目の売上又は仕入として税額を計算する特例を、2019年10月1日から一定期間(売上については2023年9月30日までの期間、仕入については2020年9月30日の属する課税期間の末日までの期間)選択することが可能になるほか、通常は事前選択する消費税の簡易課税制度の適用を、事後選択することが可能となります(2020年9月30日の属する課税期間の末日までの期間)。

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