(令和3年)所得拡大促進税制、賃上げ税制の見直しについて
新型コロナウイルスの影響により雇用環境が悪化する中、雇用を守り、個人消費の原資となる雇用者の所得を下支えする目的で、従来からある中小企業向けの「所得拡大促進税制」について、適用要件が一部見直し・簡素化されます。また、中堅・大企業向けの賃上げ税制も、新卒・中途採用による外部人材の獲得や人材育成への投資を促進する「人材確保等促進税制」になります。今月はこれらの優遇税制の改正の概要についてご紹介しましょう(令和3年4月28日現在)。
【所得拡大促進税制】
※下線部が従来と改正後の相違箇所
従来の所得拡大促進税制(平成30年4月1日から令和3年3月31日までに開始する事業年度)
青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下の普通法人等)が、従業員に対し支払った給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度の支給総額よりも増加し、かつ継続雇用者給与等支給額★1が前年度比で1.5%以上増加している場合、給与等支給額の増加額の15%の税額控除(法人税額の20%が上限、以下同様)が可能です。更に、継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加している等の一定の要件を満たす場合には、10%の税額控除が上乗せされます(支給増加額の25%の税額控除)。
★1 継続雇用者(前年度の期首から適用年度の期末までの全ての月分の給与等の支給を受けた従業員のうち、一定の者)に支払った給与等の総額。詳しい要件等はお問合せください(以下同様)。
改正後の所得拡大促進税制(令和3年4月1日から令和5年3月31日までに開始する事業年度)
青色申告の中小企業者等が、従業員に対し支払った給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上増加している場合、給与等支給額の増加額の15%の税額控除(法人税額の20%が上限)が可能となります。更に、給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比で2.5%以上増加し、教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加している等の一定の要件を満たす場合には、10%の税額控除が上乗せされます(支給増加額の25%の税額控除)。
【人材確保等促進税制】
※下線部が賃上げ税制と人材確保等促進税制の相違箇所
従来の賃上げ税制(平成30年4月1日から令和3年3月31日までに開始する事業年度)
青色申告法人の継続雇用者給与等支給額が前年度比で3%以上増加し、国内設備投資額が減価償却費の95%以上(令和2年3月31日以前開始事業年度は90%以上)である場合、給与等支給額の増加額の15%の税額控除(法人税額の20%が上限)が可能です。更に、教育訓練費の額が過去2年度平均と比べて20%以上増加している場合には、5%の税額控除が上乗せされます(支給増加額の20%の税額控除)。
人材確保等促進税制(令和3年4月1日から令和5年3月31日までに開始する事業年度)
青色申告法人の新規雇用者(新卒・中途)給与等支給額が前年度比で2%以上増加している場合、新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除(法人税額の20%が上限)が可能になります(従来の国内説投資額の要件は廃止)。更に、教育訓練費の額が前年度と比べて20%以上増加している場合には、5%の税額控除が上乗せされます(新規雇用者給与等支給額の20%の税額控除)。