ふたば便り

交際費・給与・寄附金の区別

交際費は多くの会社で使われる費目ですが、それと類似する費用との区別が難しく、税務調査でも厳しく見られるポイントの一つであるため、正確な処理が求められます。今月は、中でも誤りやすい交際費と給与、寄附金等の区別について、判断のポイントや税務上の取扱いをみていきましょう。

交際費等とそれに類似する費用の区別

交際費等★1とは、「得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用」をいいます。交際費等は中小企業(期末資本金が1億円以下の法人等)の場合、年800万円までが会社の税務上の経費(損金)となる等の制限があります。そして交際費等に類似する費用として広告宣伝費・福利厚生費・値引き及び割戻し・給与・寄附金等があり、これらは交際費等に含まないものとされるため、上記の800万円の制限等はありません。しかし、給与(特に役員給与)や寄附金に当たるものについては、下記のような税務上の取扱いが別途あるため、注意が必要です。

★1 税法的には、「交際費、接待費、機密費、その他の費用」をまとめて「交際費等」と呼んでいます。

 

交際費等と給与

  • 社交団体に支払う入会金・会費等

親睦を目的とする社交団体(ゴルフクラブ、レジャークラブ以外)に対して支払った入会金や会費は、法人会員(かつ会社の業務遂行上必要と認められる)の場合は交際費、その他の場合は原則として個人会員である特定の役員又は従業員に対する給与又は賞与となります。これが役員賞与に当たる場合は会社の税務上の経費(損金)として認められないため、会社には法人税が、社長個人には所得税が課税され、二重の税負担となります。

  • 役員・従業員に支給する渡切(わたしきり)交際費

役員や従業員に対し交際費として毎月一定額のお金を支給している場合、その精算を行なわず、その使途や実際の使用金額を明らかにしていないもの(渡切交際費)については、その役員等に対する給与として扱われます。ただし、役員に対する渡切交際費については、毎月同じ金額を支給しているのであれば会社の税務上の経費(損金) の要件★2を満たすことになるため、上記(1)の場合と異なり、会社に法人税は課税されません(個人の所得税は課税されます)。

★2 この要件を満たす役員給与のことを「定期同額給与」といいます。

 

 

交際費等と寄附金

寄附金とは、お金、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいます。寄附金は法人の期末資本金の額や所得金額によって、税務上の経費(損金)にできる金額に制限があります。

例えば次のような、事業に直接関係のない者に対するお金の贈与は、原則として寄附金になります。

  • 社会事業団体、政治団体に対する拠金(政治献金等)
  • 神社の祭礼等の寄贈金

なお、寄附する相手先や内容によって税務上の扱いが異なります。

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